Column

重心移動~下半身編~(9)

2012.08.10

久保田正一本気の心技体

『運動学・解剖学的観点から考えた投球フォーム、重心移動~下半身編~(8)』

 全国高等学校野球選手権大会が8日から始まりました!これから熱い、熱い甲子園での試合が繰り広げられます。好投手、好選手の好プレーはもちろんですが、当たり前のことをしっかりとやっている(全力疾走・笑顔・声だし、などなど)選手にも注目して下さい!

 前回は投球動作に繋がるスクワットを紹介させて頂きました。今回は、前回紹介したスクワットを投球動作のどのときに使うのか?を説明させて頂きます。

 何度も繰り返しお伝えしますが、投球動作は軸脚を使って前へ進む力と、骨盤を回転させる力を生み出します。だから軸脚の使い方が非常に重要になるのです。

 そこで前回説明させて頂いた、軸脚でのスクワットを投球動作に繋げるのですが、投球動作での重視移動で必要なのは、いかに軸脚の股関節を曲げて重心移動できるかです。


 

 この股関節を曲げられれば、その後の前に進む力、骨盤を回転させる力が大きくなるのです。写真(1)を見て頂きたいのですが、重心移動の際にほとんど軸脚の股関節を曲げられていません。だから重心が後方にあるため正しい重心移動できませんし、股関節を曲げられていない分、その後軸脚で蹴る力も小さくなります。

 写真(2)を見て下さい。これはしっかりと軸脚の股関節を曲げて重心移動できている投手です。だから写真(1)の投手より体が前傾しているのが分かるでしょうか?これだけしっかり軸脚の股関節が曲げられていると、重心移動も前に進む力も骨盤を回転させる力もしっかりと正しい力として上半身に伝えることができるのです。


左:写真(1) 右:写真(2)

 写真(2)のような投球フォームの方が球速も上がるというデータを先日ある大学院の先生から教えて頂きました。私が今までたくさんの選手を見て経験してきたことと、ちゃんとバイオメカニクスを研究されている先生との意見が一致することで、自信を持ってこの投球動作が重要であるということを皆さんにお伝えすることができます。

 ここで間違って頂きたくないのは、写真を見ただけで、ただ体を前傾することが大事ではない、ということです。写真を見比べて頂きたいのは体の傾きだけではなくて、ベルトの傾きを見て頂きたいのです。写真(1)より写真(2)の方が、ベルトの傾きが前に傾いているのが分かると思います。

 だから一見体が前傾しているような投球フォームでも、実は背骨で体を曲げているだけで、しっかりと軸脚の股関節を曲げて体を前傾していない投手はたくさんいます。しっかりと軸脚の股関節を曲げて体を前傾させることが重要になるということをご理解下さい!


【久保田正一、今月のつぶやき】

 甲子園が開幕する前に、各地区予選大会の決勝戦で投手のフォームをチェックしているのですが、非常に素晴らしい投手が多いなと感じています。今大気から今秋ドラフト候補に名乗り出る投手が現れるのではないでしょうか!

 そんな地区大会で悲しい情報が入ってきました。『タイムをとった!』といくら選手が言っても、審判が『タイム!』と言わなければそれはタイムではないのです。その後の判定にいくら何を言ってもそれは『自己評価』でしかないのです。しかし組織の一員として活動しているのであれば必ず『他者評価』されるのです。

 高校野球であれば審判はもちろん、監督、コーチ、部長、卒業生、先輩、同級生、後輩、マネージャー、保護者、学校の先生、地域の方々、他にもたくさんの方々の『他者評価』で今の自分はあるんです。

 『人生は他者評価である』。これを是非高校野球をしている皆さんにはお伝えしたいと思います。
※これについては来月の『本気の心技体』で甲子園総括と共にお伝えしたいと思います。

 さて、私は息子2人と18日19日で甲子園に観戦に行きます!甲子園でプレーする投手のフォームをTwitterで呟いていますので是非フォローをお願いいたします!『baseballstation』です!

 今年もどんなドラマが待ち構えているのでしょうか?楽しみです!頑張れ!高校球児!

 

(文・写真:久保田 正一) 

このページのトップへ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.24

東京国際大の新入生は、リーグ戦デビューの二松学舎大附の右腕、甲子園4強・神村学園捕手、仙台育英スラッガーら俊英ぞろい!

2024.04.24

【福島】田村、日大東北、只見、福島が初戦を突破<春季県大会支部予選>

2024.04.24

【佐賀】敬徳と有田工がNHK杯出場を決める<春季地区大会>

2024.04.24

【春季四国大会逸材紹介・香川編】高松商に「シン・浅野翔吾」が!尽誠学園は技巧派2年生右腕がチームの命運握る

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.21

【神奈川春季大会】慶応義塾が快勝でベスト8入り! 敗れた川崎総合科学も創部初シード権獲得で実りのある春に

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!