重心移動~下半身編~(5)
『運動学・解剖学的観点から考えた投球フォーム、重心移動~下半身編~(5)』
選抜甲子園が終了して4月も中旬になりました。大阪桐蔭の優勝で幕を閉じましたが、私は大阪桐蔭藤浪君と花巻東大谷君の投球フォームをビデオに撮るために開幕日の甲子園に行って参りました。投手の丁度真正面のポジションを確保し、しっかりとチェックさせて頂きました。(こういう時はTwitter(ツイッター)で逐一つぶやいております…是非フォローを!!!『baseballstation』で検索を!!!)
私は春の高校野球観戦でのポイントがあるのですが、それは全力疾走です。いつもチェックしているのですが、春は意味合いが違うのです…そ れは何かというと、夏は全力疾走するが、春はしない…という選手がいるからです。かなり多いです…
夏は全力するから春はいいでしょ、このような考えはどうかと思います。常に全力でなければ本番で結果は出ません。発揮能力が向上されないからです。もちろん野球だけの話ではなく、日ごろの生活もしかりです。野球頑張っているから勉強や私生活は適当でいいでしょ、これもダメですよね。
発揮能力を高めるには野球と関係ないことをしっかりやる必要があるのです!!!常日頃から何事にも本気で取り組まないと本番で力は発揮できませんよ!!!今一度日ごろの生活を見直しましょう!!!
『もっと軸足にためて!!!』という言葉の意味
写真(1)
さて投球フォームの話です。前回は重心移動の際に膝が内に入っていないかどうか、という話をさせて頂きました。それと軸足の離れ方ですね。
<膝が早く内に入る投手>
足の小指側が全体的に離れて内に入る
(軸脚の支持が不十分)
足のかかと側から離れて内に入る
(軸脚の回転が早くなる)
そして最後にお伝えした、『最後に注意しておいて頂きたいのは、投球での重心移動では膝は内に入ってきます。入らないと回転動作はできませんので必ず膝は内に入ります。私が言いたいのは『膝が内に入るのが早い』ということです。しかしまだここではじゃあどこまで入らないのが良くて、どこから入ればいいんだ、という話はしていません。これは次回したいと思います。』です。
ここを今回説明させて頂きます。皆さんも疑問に思われると思うのですが、では『いつまで膝が内に入ってはダメで、いつからなら膝が内に入っていいのか?』です。
これは軸脚の傾く角度がポイントになるのです。そのポイントとは、軸脚が最低45°傾くまで、真っ直ぐの状態(股関節・膝・足が一直線の状態)になっておくことです。(写真①)
ですから逆に言うと、軸脚が45°傾く前に膝が内に入ってしまったらそれは軸脚の開きが早い、ということになります。よく耳にする言葉です。
『もっと軸足にためて!!!』
『軸足で我慢しろ!!!』この言葉の意味には上記のようなことが含まれているのです。
[page_break:軸脚の傾きについて]軸脚の傾きについて
写真(2)
写真(2)は小学生の比較なのですが、上の投手の方は軸脚が45°傾いていないのが分かると思います。動画で見ると、このコマの後から膝が内に入ってきます。
対して下の投手はしっかりと45°軸脚が傾いています。動画で見るとこのコマの後から膝が内に入ってきます。
ですので、まずは自分がどれくらい軸足を傾けてから膝が内に入ってきているか?これをチェックする必要があります。これはビデオでチェックしなければ分かりません…
そして重要なポイントは自分がどこから膝を内に入れて、軸足の回転を始めているかを知るということです。ほとんどの選手がこのことを意識していません。
それでは軸足の回転がバラバラになり、軸足の開きが早いだけではなく、バラバラのタイミングで回転するということになってしまいます。それでは球速やコントロールにバラつきが生じることでしょう。
まずは自分のフォームを横からビデオに撮ってチェックしてみましょう!!!
次回は歩幅についてと、どのようなエクササイズをすればいいのか?これをご紹介します。
(文・写真:久保田 正一)