技術ノート

高校野球のトレーニングに新しい風を吹き込む小林メソッド2011年02月26日


「本物を伝えたい」――。

昨年12月18日と今年1月15日の二日間、小林敬一良氏(成美大監督)による実技演習会が行われた。
これはスポーツメーカー・オンヨネの販売を請け負うプロスペクト株式会社と心をともにした、城東工科・見戸健一監督、桜井・森島伸晃監督が協力し、実現されたものだ。

浪速校で27年、甲子園に2度出場し、大引啓次(オリックス)らを育て上げた小林氏。そこにあったのは小手先の指導ではなく、本質を見極めた指導である。世間一般的には、主流となっているウェイトトレーニングを行わず、バランスを重視したトレーニング、「力んで野球をやらない」をテーマにする。

「どうしても指導者が数字に頼ってしまう。何キロのバーベルを上げたとか、体重が何キロになったとか……。でも、スピードガンもそうですけど、指導者自身がそっちに頼ってしまうと、見る目、感覚や感性が薄れてくると思う」

と小林氏は語る。大阪会場には大阪府下の指導者だけではなく、京都、岐阜、岡山の指導者が参加。奈良会場では奈良県以外から三重、静岡、長野の指導者が駆け付け、その斬新的ともいえる指導に耳を傾けた。

目に見えて分かりにくいトレーニング

大阪会場開会あいさつ

 小林氏は大阪会場での開始冒頭、参加者らにこう挨拶した。

 「私は長い間、高校野球の監督をやってきましたが、以前はウェイトトレーニングをやって、筋力をつけて野球に生かそうと思ってやっていました。ところが、例えば、それで筋力アップして、凄い身体になった選手が良く打てるようになったか、速い球を投げられるようになったかというと、期待するほど伸びていなかった。指導者がやりやすいのは、ウェイトトレーニングだと何キロ上がったとか、数字が出ますよね。それが生徒のモチベーションをあげるということと、指導者にしても、これくらいの筋力になったな、体重が大きくなっているな、とそれが分かりやすいという部分があります」。

「私自身も、そういう指導をしながら反面疑問を持っていました。それで、いわゆる力に頼ってやるんじゃなくて、バランスとか、柔軟性を磨くことによって、より選手のパフォーマンスが上がるんじゃないかというところへ、移行していきました。今日、やるようなことは感覚を磨く、本人自らが自分の感覚を確認する、試していくということが多いので、目に見えて分かりにくいトレーニングがほとんどです。生徒がトレーニングをやって、『自分の感覚が変わった』、『柔らかくなった』、『動くようになった』、というようなトレーニングが主ですから、子供にとっても、難しいところはあります。でも、そこを超えて行かないと、将来的に、その選手は成長していかないかなと思っています」。

「力まない」を一つのテーマに、小林氏の実技演習会が始まった。