Column

夏に向けてのコンディショニング「センスアップで、持っている力を引き出そう!」【Vol.1】

2017.07.18

「心と体のコンディショニング 心身一如」
 鹿児島県内を中心に、個人でスポーツトレーナーを営む高司譲さんの名詞にはこんなフレーズが銘打ってある。野球に限らず、スポーツ選手が持っている能力を最大限に発揮し、最高のパフォーマンスができるためには、心(メンタル)と体(フィジカル)、両面のコンディショニングが欠かせない。高司さんは、仏教用語でいう「心身一如」な状態をいかに作り上げるかをテーマにトレーナー活動を行っている。県内の野球部では公立高校を中心に10数チームを定期的に指導している。

 夏の県大会まで残り少なくなった今、最後に必要なのはこれまで鍛え上げた技と力を本番で余すところなく発揮するかである。結果はもちろん、悔いのない夏にしたいと思うのは高校球児や指導者共通の願いだ。だが実際には「持っている力を出し切れなかった」「緊張して何も覚えていない」「いつもの自分じゃなかった」…こんなコメントをこれまで数多く拾ってきた。それらを克服するためにも、高司さんは「センスアップトレーニング」の重要性を説く。センスアップとは「自分で感じる力を高めること。心と身体をリラックスさせて、本番で持っている力を発揮する」(高司さん)能力を高めることである。

 6月28日、夏の初戦を1週間前に控えた錦江湾で高司さんの指導があった。「夏の大会に向けてのコンディショニング」と題した講話は高司さんがこれまで20年近く高校野球の現場を見てきて、本番で力を発揮するために何をすればいいかをまとめたもので、あらゆる球児に参考になる話に思えた。以下、高司さんと錦江湾野球部の許可を得て、講話の内容を要約し、具体的なセンスアップトレーニングの方法をいくつか動画で紹介する。

センスアップしよう!

高司 譲さん

 プレーを行うのは自分自身です。その土台となる自分自身の心と身体のバランス、状態、動きを自分の感覚で感じることが大事です。自分を知ること、身体感覚を鋭敏にすることがセンスアップになります。

 まずは自分の身体で凝り固まっているところ、硬いところ、動かしにくいところを自覚し、左右差の改善、柔らかく鋭く動く状態を作るコンディショニングをやりましょう。

 目指すのは地に足がつき、鋭く、キレ良く動き、積極性が高まり、腹が座って思い切りよくプレーし、肩・首の力が抜けリラックスして動けており、自分の持っているものを100%近く発揮している状態を作ることです。

 万が一、ベストな状態でなくても焦る必要はありません。その時点でできることは何かを整理し、できる限りのことに精一杯取り組みましょう。これが今ここに集中することになり、持っている能力を発揮していくことにつながります。その時点でのベストを尽くすというプラスの意識が大事です。

[page_break:フィジカル準備のポイント]

フィジカル準備のポイント

 しなやかな身体を作るためには、毎日のストレッチ、センスアップで動きやすい身体を作りましょう。足首、股関節、肩、肩回りを中心に、自分の硬くなりやすいところも柔軟にすることを習慣づけましょう。

 キレのある身体を作るためには、10-50m程度の短い距離のダッシュや、ジャンプ系のトレーニングを疲れない程度に行うこと、体幹を締めておくことが効果的です。

日常生活でできること

 日常の自分の姿勢には心が表れます。自信があれば胸を張っているし、気持ちが落ち込んでいれば下を向いています。心と身体のバランスの良い人は両脚でいつもきちんと立っていますが、崩れている人は片脚に偏った姿勢をとりがちです。

 歩く姿勢、授業中の姿勢、自転車に乗る姿勢、電車やバスでの姿勢、食事の時の姿勢…日常生活の「姿勢」から気をつけてみましょう。

 骨盤が後傾して立ったり、お尻の上の方で座るのは悪い姿勢の見本のようなものです。椅子に座るときは深く腰掛けて、身体の中心を意識しながら坐骨の上で座る習慣をつけましょう。膝を開きすぎずに脚を平行にする意識を持ち、足の裏は全体を床につけましょう。立っているときは、地に足をつけ、身体の中心の軸、頭の上から引っ張られているような感じで立ち、歩き、ふるまいましょう。

 家に帰ってからダラダラした生活をしないことも大事です。もしだらけていれば、公の場とプライベートが全く違うということです。建前と本音を使い分けていることなので、土壇場やチャンスやピンチなどの試される場面になったとき、本性が出て失敗する可能性が高いです。

 自分に対する甘さをなくしましょう。親に依存した生活をしないことです。親の目を見て挨拶する、起床時は自分で起きる、布団は自分で片づける、食べた食器を自分で洗う、洗濯もたまには自分でする、部屋はきちんと片づける、道具の手入れをしっかりする…自立・自律した行動を大事にしましょう。

 心が整っていないと勝ち進むことはできません。野球の神様はいつでもみています。そう思って生活することが準備となります。何気ないことかもしれませんが、これらも勝利を引き寄せる一つの要因です。

■夏に向けてのコンディショニング「センスアップで、持っている力を引き出そう!」【Vol.2】に続く

(文・写真:政 純一郎

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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