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北海道日本ハム・中垣 征一郎トレーニングコーチに聞く!大谷翔平などの超一流選手のトレーニングとは?

2016.12.22

 前編では、オフシーズンの過ごし方の重要性や、「動き」を意識することで質の高いトレーニングができると語っていただいた中垣征一郎トレーニングコーチ。後編では大谷翔平選手のトレーニング姿勢や、トレーニングを組み立てる上でのルールを語っていただきました。

大谷 翔平選手、宮西 尚生選手、田中 賢介選手の超一流はどう考えてトレーニングをしているのか?

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継続できる選手は成長し続ける

「同じことを継続することができる選手」
北海道日本ハムでいえば中継ぎ左腕・宮西 尚生投手(31)関連記事やベテラン・田中 賢介内野手(35)などがこのタイプにあてはまる。

「宮西は天才的にそれがうまい。入団して9年間、一貫して同じトレーニングをする中で、うまくテーマを変えながら成長している。田中賢の場合は、プロ入りして5~6年で自分の目指すものを確立して、1軍に定着した。トレーニングの方法論を大きく変えたとしても、狙いは変えない。もしその方法がうまくいかなくても、すぐに元に戻れるという思考の柔軟性も持っている」と2人を評価。

 宮西投手は入団以来、9年連続で50試合以上登板を続け、今季は史上2人目の通算200ホールドを達成し、最優秀中継ぎ投手のタイトルも獲得。田中賢選手は前回日本一となった2006年からレギュラーとして(2013年はサンフランシスコ・ジャイアンツ、2014年はテキサス・レンジャーズ3A
)、今なおチームの中心選手であり続けていることからも、それは証明されているといえるだろう。

 それと日本ハムにはもう一人、球界、いや世界が注目するスーパースターがいる。史上初めて投手と指名打者の2部門でベストナインに輝き、パ・リーグMVPも獲得した大谷 翔平投手(22)関連記事だ。「彼はとにかくトレーニングが大好き。こちらとしては、彼がこれをやりたいと思ったときに、偏りが出ないようにだけ気を付けている」と、とてつもなく高いレベルで進化を続ける二刀流のトレーニングに対する姿勢に及第点をつけた。

 さらには「入団してから3年間、彼は本当に基礎トレーニングをよく頑張ってきたので、今年からはこちら側が一歩引いて距離を置くようにしている。大谷に限らず、よくやっている選手にはそういう方針でいくことを決めていますから。自分がどこにトレーニングの軸を置いて、今後どう進めていくかということに思考を巡らせていると思うし、大谷にとってもそういう時期じゃないかと思っています」とメニューもある程度、本人任せにしていることを明らかにした。

[page_break:すべてのトレーニングに必ず動きの要素を取り入れよう]

 誰も経験したことのない道を突き進む怪物に対してのトレーニング指導には、さまざまな苦労もあると思われがちだが、日本ハムではそんなに難しくとらえてはいない。「すべてが一定のルールにあてはまるという訳ではないが、ある程度ルールに則った上で、選手の個性を見極めていくのが我々の仕事です。ルールを持たずに個性だけを見ようとしても、その人の個性は絶対に見えてこない。他の人と同じものは何なのか、人よりも飛び抜けているものは何なのか、もしくは足りないものは何なのか。

 いろんなことを知るためには、ルールであったりスタンダード,原理や原則というものを抜きには考えられない」とした上で、大谷選手にとってベストのトレーニング方法を導き出していく。「特に投手としては、力がつけばつくほど負担が大きくなる可能性を秘めている。けがのリスクを少しでも抑えて、本人のパフォーマンスを最大限に引き出していくということが不可欠な条件。高いところでの整合性をうまく見つけていければと思っています」と、今後の育成方針を語った。

すべてのトレーニングに必ず動きの要素を取り入れよう

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中垣 征一郎トレーニングコーチ(北海道日本ハムファイターズ)

 大谷選手に限らず、若手の育成には定評のある日本ハム。その基礎作りに携わる中垣コーチが考える高校球児たちにとってのトレーニングの取り組み方とはどんなものだろうか。「やはり動作に着眼点を置いてトレーニングをしてほしいですね。例えば、10回ジャンプするにしても、ただ10回飛ぶというのではなく、どういう動き方をすれば短い時間で、大きな力が、効率よく発揮できるのかということを意識してもらいたい」とアドバイス。

 日本ハムではバーベルのバーを肩に担いで横方向や縦方向の動きを学習したり、動きの着眼点を明確にしてメディシンボールを投げるといったことを取り入れながら、常に“動き”を意識させている。「高校生であればチームで行う練習は、ランニングが多くなったり、最近では偏ったウエイトトレーニングも非常に多くなってきている。高校時代に結果を出すのであれば、金属バットを少しで軽く感じるように筋力をガッチリつけるというのは、ものすごく役に立つことかもしれない。でもそれが必ずしも将来生きるかといえば、そうではない」と、指導者を含めて意識改革の必要性を訴えた。

「ウエイトトレーニングの中にも必ず動きの要素を取り入れる。重さよりもそちらを重視することで、動きをコントロールする能力だとか、運動技術を学習する能力を高めることができる。これは高校生に限らず中学生、小学生のうちからやっておくべきだと思います。高校生になると言葉の理解力も上がってくる。動き方を変えることで、どんな効果があるかということを意識させて反復練習するというのが、長い目で見て選手を成長させることになると思います」と中垣コーチ。

 普段やっているトレーニングも、頭の中を切り替えることでより技術習得に関連したトレーニングへと変えることができる。時間的に余裕のあるオフシーズン、これまでの練習方法について、チームで徹底的に話し合うのもいいかもしれない。

(文・京田 剛

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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