Column

捻じる?捻じらない?

2011.07.20

第9回 捻じる?捻じらない?2011年07月20日

 みなさんこんにちは。トレーナーの田口です。梅雨も明け、夏真っただ中、このコラムが掲載されているころには地方予選も終盤に差し掛かっているところでしょう。球児の皆さんには、勝っても負けても悔いの無いよう、全力でプレーができることを期待しています。

 さて、今回のコラムについては、野球のプレー時において身体を捻(ね)じるのか、それとも捻じらずにプレーするのかについて私なりの見解を述べたいと思います。

投球動作

【全力投球できている?】

 まず、皆さんが捻じると聞いて思い出すのが、投球動作とスイング動作だと思います。では、この2つの動作時に身体をどのように使えば、効率よく力を出せて確率も上がってくるのか。

 投球動作に関して述べると、まず、捻じることによって起きることは

①コントロールが定まりにくくなる
②急速が出にくくなる
③全力投球できている感覚が持てる

の3つが挙げられます。

理由として、①に関しては身体を捻じることにより、前回のコラム(第8回『腕はどこから?』)でも述べたように脊柱が支点となり回旋が行われる。それにより支点(脊柱)から末端(ボール)までの距離が短くなることによって小さい円運動になり、少しのリリースポイントのずれが、大きなコントロールのずれになりやすくなります。②では前回のコラムで述べたとおりです。

 ③はあくまで全力投球できている『感じ』がするということであり、全力投球ができていることではありません。力感自体は非常に感じますが、物理的な面から考えても力は出ていません。(詳しくは コラム『力は出せている』をご覧ください。)この捻じる動作にならないようするには、グラブの使い方が非常に重要になります。(グラブの使い方に関しては後のコラムでお伝えします)


スイング動作

【身体の声に耳を傾けてプレーしよう】

 次にスイング動作に関してですが、捻り動作を行うことによって

①開きが早くなり変化球への対応ができにくくなる
②各コースで打てるポイントが決まってしまう

の2つが挙げられます。

 ①に関してですが、スイング動作に関しても捻じることによって、脊柱の回旋が始まります。そうするとトップを作る際に身体がややキャチャーのほうを向いてしまいます(捻じっているため)。そうなると打ち始める際に必ずと言っていいほど(もちろんそうならない選手もいます)最初の動作が身体を正面に向けること(捻じっていた身体を元に戻そうとする動き)になります。

 つまり、その時点で既に身体の開きが始まってしまっているのです。その動作がいったん始まってしまうと惰性の力が働き、回線運動を止めることができなくなってしまいます。そこに外に逃げる変化球を投げられたらもう結果は分かりきっています。

 ②に関して言えば、様々な理論があると思いますが、私的な理論で簡単に例えると昔大流行した『野球版』をイメージしていただければ想像しやすいと思います。投げられたボールをインコースは前(投手寄り)で、アウトコースはできるだけ後ろ(捕手寄り)で、真中は体の前でというふうに各コース1点のポイントでしかミートポイントを持てなくなりやすいです。

 しかし、バッターは、打ち終わった後に必ず捻じれが入ってきます。動きで見ればそうかもしれませんが、身体の感覚としては捻りを利用して打っている方は、非常に少ないように感じます。

 この2つに関して間違ったとらえ方をしてほしくないのがあります。動作時に全く身体が捻じれないということではありません。むしろ捻じれます。要は、身体の感覚の中で捻じるという動作をメインとして考えないで頂きたいということです。映像や写真などで見る動きと自分で感じる動きというものは違うことがあります。私は、いいフォームというものは『作る』というよりは『出来る』ものだと思っています。

 皆さんも自分の身体を感じ、身体の声に耳を傾けてプレーしてみてください。

(文=田口 亮

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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