第16回 高川学園の野球ノート【第2回】「寮監督と、球児たち 毎日綴った甲子園への思い」2016年08月12日

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決勝の翌日、中林選手と中野寮監のやりとり(高川学園高等学校)

 そして中野は、ノートにこう書いた。

 僕は達成の味方やで!!

 実はこの日のノートには中林なりの中野への思いも込められていた。

「智弘コーチがキャプテンをされていたときの思いを話してくださったことがありました。そのとき智弘コーチはチームの先頭に立ち鼓舞しようと一生懸命やられていたらしいのですが、ふとチームを振り返ったときに、チームメイトの方がついてこない、という経験をした、と仰られました。あのとき、グラウンドで僕に指摘してくださったのは、きっと僕にも同じような思いをしてほしくない、と考えてくださったからなんじゃないかと思ったんです。でも、あのときはチームの雰囲気もすごくよかったし、みんながついてきてくれていた。だから大丈夫です、心配しないでください、という思いを伝えたかった」

 こうした、グラウンドでは終わらない中野寮監とのやり取りこそが、中林を育て、チームを育てた。
「中野先生は本当に僕のことをよく理解してくださるので、思ったことが書けます。それが、僕の財産になっていると思います」

日本一のグラウンド整備をする男

 もうひとり、毎日野球ノートを書き続けている選手がいる。2年生ピッチャーの太田 清貴だ。
夏の大会のメンバー入りは叶わなかったものの新チームになり、今年こその思いでいる。そんな彼の特筆すべき姿勢、それがグラウンド整備にある。

 練習や試合が終わると、どんなチームでも「トンボ」と呼ばれる器具でグラウンドをきれいにならしていく。スパイクやボールの跡で荒れたグラウンドを元通りにするわけだ。高川学園もそれは同じ、練習が終わればトンボをかける選手がグラウンドに散らばる。そのなかで、「トンボ」を使わず「手」でグラウンド整備をしているのが太田だった。

 ホームから一塁ベースの間、バッターが何度も駆け抜けたその場所を太田は両手で右に左に、まるでテーブルを拭くように丁寧にならしていく。また、ピッチャーマウンドでは、大きく穴のあいたマウンドに手で水をやり、こねて、きれいに固めていく。ユニフォームは練習が終わったあとよりもっと泥にまみれていた。

 きっかけは、中野監督からもらった話だった。
「昼のミーティングというものがあってそこで、去年(2012年)の10月くらいに〝日本一〟というテーマについて中野先生からお話がありました。いろんな〝日本一〟についての話を聞いたのですが、そのなかで〝日本一の整備〟という、松山商業高校さんのグラウンド整備の話を聞きました。それから僕も〝日本一の整備〟をしようと思って続けています」

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