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第16回 高川学園の野球ノート【第2回】「寮監督と、球児たち 毎日綴った甲子園への思い」2016年08月12日

8月9日発売の話題の新刊!!累計15万部突破の『野球ノートに書いた甲子園4』の発売を記念して、この夏、甲子園初出場を決めた高川学園の野球ノートの物語をお届け中!
今回は、第1回「甲子園初出場を決めた高川学園の野球ノート! 」の続きをお届けします!
記事は2013年刊行の「野球ノートに書いた甲子園」に掲載中!
寮監督と、球児たち 毎日綴った甲子園への思い

高川学園野球部 野球ノート(高川学園高等学校)
■11月16日(金)
一年生の態度が凄く目につきました。
中林はこう述懐する。
「なんというふうに表現したらいいか分からないんですけど、勝つために、いまの2年生(当時の1年生)の練習への姿勢に物足りなさを感じたことがあって、それを書いたんです」
そのときの、中野寮監のコメントはこうだった。
後輩は、先輩の姿を見て育つ
「実際に後輩がそういう雰囲気になっているのは、自分たちがしっかりしてないからなんだと気づかされました。しっかりと取り組んでいるつもりでも、結局はしっかりやっていると思っているだけなんだ、と。だから自分たちがもっと目標となるような背中を見せて、それをうまく伝えていかなければいけないと感じました」
中野寮監の言葉は、中林に強く突き刺さり、副キャプテンとして自分がどうあるべきか、チームが勝つためにはどういった行動をしていくべきなのか、という問題意識を高めさせた。
グラウンドでのコミュニケーションが、野球ノートによってさらに深まることもあった。冬の猛練習を乗り越え、チームも上り調子になってきた4月、中林がチームメイトを強い口調で叱責したことがあった。それを見た中野寮監は、グラウンドで中林に話をする。
「そのとき言われたのは〝俺はお前が怖いんや〟ということでした。〝言葉にするということは武器でもある、そういう口調で言うことでチームから孤立してしまうのが怖いんだよ〟というふうに言われて。でも、僕はチームが勝てるならば嫌われてもいいという覚悟があったんです。だから、それを智弘コーチ(寮監)に伝えました」
中野は当時のことを振り返ってこう言う。
「中林は、大阪出身で口調がきつく感じられることがありました。言っていることは間違いじゃないんですけど、指導するときに威圧があるんじゃないか。もちろんそれも大事なことなんだけど、言い方には気をつけよう、ということを言ったと思います」
そんなやりとりがあった夜、中林は野球ノートにこう書きこんだ。
キャプテンと副キャプテンは嫌われるものと
自分もそう思ってやってきました。
どんだけ自分が嫌われようともそれが
チームの成長、向上の為なら何も思いません
理解してくれる人は、ちゃんと理解してくれるんで!!
中野寮監の指摘はよく分かる、でもそれ以上に勝つためであれば、念願の甲子園のためであれば嫌われることは厭わない―。中林は、その思いを改めて中野寮監に訴えたのだ。
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