第1回 帽子に込めた球児達の想い2010年09月01日
高校野球ドットコムから新刊発売!こちらのコラムを取り上げています!
興南高校の優勝で幕を閉じた第92回全国高等学校野球選手権大会。
今年の夏も球児たちはそれぞれの「想い」を胸に、戦った。
夏の大会は3年生にとってみれば、「敗退」=「引退」の大会である。
負ければ終わりという緊張感のある戦いの中で、選手達は色々な形で自分の「想い」を形にして気持ちを奮い立たせている。
その一つが帽子のつばの裏に書く「想い」。
初めて気になったのは「ありがとうの気持ち」という言葉だった。冷静なイメージの強いある強豪校の選手だったが、その一言が帽子のつばにそう書いてあるのを見てその選手自身が印象に残った。
今回のコラムでは夏に出会った球児達の帽子のつばに書かれた「想い」を、その意味を教えてもらいながら紹介していきたい。
日大鶴ヶ丘高校 「笑鶴」

負けた試合の日が刻まれた岡崎君の帽子
日大鶴ヶ丘のエース岡崎君の帽子には「2008 10/11 5-6X vs東京」と真ん中に大きく書いてある。
これは岡崎君が1年生の秋、初めて公式戦で投げた試合の結果だ。勝っていた試合で最終回に6点取られて負けた悔しさを忘れないために書き続けているという。
このときの試合の悔しさを同じように帽子に書いている選手がいた。キャプテンで4番の石田君だ。
1年生で背番号7をもらったものの、結果が出すことができずベンチでこの試合に負けるのを観ていた。「試合に負けたこともくやしかったが、自分が出ていないことも悔しかった」と振り返った。
そんな石田君の帽子には「結果がすべて」とも書かれている。2年生の秋に結果が出せなかった想いがこの言葉になった。
練習中に監督が「結果が出ない練習は練習ではない」と話していたことも影響している。高校の3年間で何百とあった試合の一つ一つが3年生の最後の夏につながっているのだ。
今年の日大鶴ヶ丘は監督もチームカラーを「我慢」と言うように、粘り強く守る試合で勝ち上がってきた。
あきらめない、そんな想いがチーム全体に浸透していた。それが最大限に発揮されたのが西東京の準決勝。
センバツ準優勝を果たした猛打の日大三を相手に延長14回、試合時間4時間16分という我慢勝負の厳しい試合になった。
そんな中、日大鶴ヶ丘の選手は明るかった。榎本君の帽子に書かれた「笑鶴」という言葉は3年生の試合Tシャツに使った笑いの耐えないチームを表現したものだ。

仲間から想いをたくされた東濱君の帽子
笑うという言葉は様々な選手が口にした。メンバーには入れなかったものの、おもしろいと誰もが名前をあげたムードメーカーの神谷君は今大会打撃が好調だった東濱君の帽子にドラえもんを書いた。東濱君は緊張したらこれを見て頑張りますと笑った。
東濱君の帽子には他にもメンバーにはなれなかった3年生の言葉が書かれていた。部活で同じ係りをしていた津田君と古田君、3年間帰り道を共にした小林君だ。小林君は「甲子園であばれろ!!俺の俊足があればもっとよかったのに」、津田君は「甲子園で駆け回る東が見たい!」と試合に出られない想いを託した。
そして古田君は「最高の仲間と最高のプレー」と書いた。スタンドの想いと共に戦った日大鶴ヶ丘高校は準決勝を劇的なサヨナラ勝利で飾った。
スタンドの東良君はメンバーに「心は一つ」と帽子に書いてもらった。さらに「笑いだけはゆずれない」と書いてある。お笑い担当なんでと話した東良君の他にも、お笑い担当を名乗り出る部員が何人も出てくる笑いの耐えないチームだった。
マウンドやグランド、そしてスタンド。それぞれの場所から一丸となって戦った日大鶴ヶ丘だったが、準優勝とあと1歩及ばなかった。
あとは信念、投魂!!
取材来ないかなー?
ってかいてまーす。
うちの高校にも取材に来てほしいです。
コメントを投稿する