
大谷 翔平(エンゼルス)
メジャーリーグも開幕してから1ヶ月以上が経つ。今年も多くの日本人選手の活躍が注目される中で、最も期待されているのは、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でMVPを獲得したエンゼルス・大谷 翔平投手(花巻東出身)だ。
シーズンが開幕しても、エンゼルスの中心選手として活躍を見せている。投げては開幕投手を務め、防御率は3.23。メジャーで、トップクラスの速球とスイーパーを生かして抑えている。
このスイーパーは今年のピッチングの中で高い比率を占めている。大谷の場合は、スイーパーを決め球にしながら、カウントも取れているのも抑えられている一つの要因だろう。
WBCの決勝の米国戦でマイク・トラウト外野手(エンゼルス)から三振を奪ったスイーパーは87マイル(約140キロ)であったことも紹介された。大谷が投げるスイーパーの特徴は、曲がりの大きさと球速を兼ね備えていることだ。さらに、横方向の変化量は平均で18インチ(約45.7センチ)で、これはホームベースの幅17インチ(約43.2センチ)よりも大きい。その上、平均球速は84~85マイル(約135.2~136.8キロ)で、MLB平均の81~82マイル(約130.4~132キロ)より5キロほど速い。
この大谷のスイーパーは、MLB公式がメジャー最強の球種2位にランクインしており、メジャーでも認められる球種なのがわかる。下記がランキングである。
◆MLB公式による失点を防いだ球種トップ4
1位 ディラン・シース投手(ホワイトソックス)のスライダー
2位 大谷 翔平投手(エンゼルス)のスイーパー
3位 サンディ・アルカンタラ投手(マーリンズ)のチェンジアップ
4位 ジャスティン・バーランダー投手(メッツ)の4シーム
現在の大谷は、奪三振率も12.06と高い数字を記録している。大谷の場合は数字だけではなく、ピンチの場面で三振が欲しい時に、しっかりと三振で抑えている。どのような状況においても、試合をしっかりと作り、リリーフ陣に繋いでいるところを見ると、まさにエースの名に相応しいピッチングを見せている。昨シーズンはサイ・ヤング賞の争いでは、惜しくも4位となったが、今年はサイ・ヤング賞獲得も夢ではないだろう。
大谷は野手としても存在感を見せている。開幕から3番を打っており、すでに9本塁打を記録している。今年に関しては、打率も残っていることもあり、最終的には3割30本100打点の達成にも注目していきたい。今年も本塁打をハイペースで量産していき、3年連続30本塁打はもちろんのこと、個人タイトル獲得にも期待していきたいところだ。
現在はWBCの疲れが見え始めている。これまでのメジャーリーガーや日本のプロ野球を見ても、開幕前に開催されるWBCやハイペースの調整で、シーズン中にバテる選手は珍しくない。大谷の場合は、二刀流のため他の選手よりも2倍の稼働をしていることを考慮しても、心配な部分だ。
WBCの圧倒的な活躍を見ると、米国のキャプテンを務めたトラウトとともに、エンゼルスを世界一に導く姿を見たい人は多いはずだ。大谷自身、チームとしてのタイトルはリーグ優勝やワールドシリーズ制覇が残っているため、1人の力で世界の頂点に上り詰めてほしい。
(取材=ゴジキ)