シーズンも佳境に入ってきた南東北大学野球春季リーグ戦。昨年の全日本大学野球選手権で4強入りした東日本国際大を筆頭に、入学したばかりの1年生の活躍も目立つ。今回は、春季リーグ戦から早くも台頭してきている将来有望なルーキーたちを紹介する。
プロ注目外野手・黒田義信が歩み始めた大学4年間

日本大工学部1回戦では4番に座った東日本国際大・黒田義信
東日本国際大の注目ルーキーは、昨年のU-18日本代表で活躍した黒田 義信外野手(1年=九州国際大付)。走攻守三拍子揃った万能型の外野手で、高校3年次は春夏ともに甲子園でも活躍した。
大学ではオープン戦から積極的に起用され、リーグ戦は開幕から5試合続けて「3番・DH」でスタメン出場。6、7試合目は4番に座り、8試合目は藤木豊監督の「本来は1番に置きたい」との考えを実現するかたちでトップバッターを任された。
開幕から4試合を終えた時点では10打数1安打と苦戦していたものの、5試合目となる福島大1回戦で2安打3打点と結果を残した。1番を打った日本大工学部2回戦は初回に先制の口火を切る三塁打を放つと、1対0で迎えた6回には1死二、三塁の好機で2点適時三塁打をマーク。ここまで打率.240(25打数6安打)、5打点で、安打6本のうち4本が三塁打と、試行錯誤しながらも持ち前の勝負強さと長打力を発揮している。
昨秋プロ志望届を提出するも、ドラフト指名はならず。一方、松尾 汐恩捕手(大阪桐蔭出身、DeNAドラフト1位)、浅野 翔吾外野手(高松商出身、巨人ドラフト1位)らU-18でともに戦った選手は次々と名前を呼ばれた。「悔しい気持ちはあったし、プロに行きたい気持ちが強かったので落ち込んだ」と当時を振り返るが、現在は「仲間が頑張っているから、自分も頑張ろう」と気持ちを切り替えている。
九州国際大付の硬式野球部から東日本国際大に進学した選手は黒田が初という。八戸大(現・八戸学院大)監督時代に秋山 翔吾外野手(現・広島)らを育てた藤木監督から熱心に誘われ、「すごい選手を育てている監督さん。ドラフトで指名されなかったらここで4年間みっちり鍛えてもらおう」と心に決めていた。生まれ育った九州から東北に生活拠点を移し、気温の違いなどに戸惑いながらも徐々に大学野球に順応している。
現在は右肘に痛みがあるなどコンディションが万全ではなく、DHでの出場が続いている。完治すれば、指揮官が「一級品」と称える外野守備も見られるはずだ。「大学の4年間は長くはない。ここまでの結果はイマイチですけど、自分のペースで、打撃、守備、走塁のすべてを底上げできるよう頑張りたい」。大卒でのプロ入りに向け、この4年間を一瞬たりとも無駄にするつもりはない。