今大会初の試合中盤以降ビハインドの展開も劇的な逆転サヨナラ勝ち!

村上宗隆
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のメキシコとの準決勝に臨んだ侍ジャパン。佐々木 朗希投手(ロッテ=大船渡高出身)が先発した。
初回から飛ばし、2つの三振を奪うなど最高の立ち上がりを見せた。2回はルイス・ウリアスの打球が、直撃するアクシデントもあった中で、無失点に抑えた。
その裏の日本は、パトリック・サンドバルから吉田 正尚外野手(レッドソックス=敦賀気比出身)がヒットで出塁するも、村上 宗隆内野手(ヤクルト=九州学院出身)は三振に倒れ、岡本 和真内野手(巨人=智辯学園出身)は併殺打に倒れてしまう。
試合が動いたのは4回。2死から連打を浴び、2回にヒットを放っているウリアスに先制となるホームランを打たれる。佐々木はこの回でマウンドを降りる。2番手の山本 由伸投手(オリックス=都城高出身)は、メキシコに流れを渡さない内容のピッチングを見せる。
それに応えるように、打線は4回からチャンスを作る。4回は1死から近藤 健介外野手(ソフトバンク=横浜高出身)がヒットで出塁し、大谷 翔平投手(エンゼルス=花巻東出身)は惜しくもセンターライナー。続く吉田が、ヒットで繋ぐも村上が三振に倒れる。
続く5回は岡本がホームラン性の大飛球を放つも、ランディ・アロサレーナがファインプレーを見せる。1死後に山田 哲人内野手(ヤクルト=履正社出身)がヒットで出塁し、源田 壮亮内野手(西武=大分商出身)が7球粘った末に四球を選ぶ。続く中村 悠平捕手(ヤクルト=福井商出身)のところで、代打・牧 秀悟内野手(DeNA=松本第一出身)が打席に立つが、遊ゴロに倒れた。ラーズ・ヌートバーが四球を選び、満塁のチャンスを作り、続く近藤がレフトへいい当たりを放つも、アロサレーナの守備範囲となり、またもチャンスを生かしきれなかった。
6回にも大谷がヒットで出塁し、吉田と村上が倒れ2死となる。その後、岡本と山田が四球を選び、またも満塁のチャンスを作るものの、源田はレフトフライに倒れる。
日本は再三チャンスを作るが、無得点のままイニングは進む。しかし、守り抜いているメキシコは日本が捉え始めていることに、プレッシャーを感じていただろう。1巡目こそ圧倒的な内容を見せていたサンドバルは、4回から日本打線に捉え始めていたため、4.1回でマウンドを降りた。
7回に日本は2死から近藤がヒットを放ち、ホセ・アルキーディをマウンドから降ろす。3番手のジョジョ・ロメロから大谷は四球を選び、吉田が右翼ポール際への3ランで追いつく。
しかし、8回に疲れが見え始めた山本が捕まり、甲斐 拓也捕手(ソフトバンク=楊志館出身)のリードも読まれ始め、2点を勝ち越される。
追いついた後に突き放された日本は、その裏にヘスス・クルーズから岡本の死球と山田のヒット、源田の送りバントでチャンスを広げ、代打・山川 穂高内野手(西武=中部商出身)の犠牲フライで1点差にする。その後も同点のチャンスとするも、近藤が見逃し三振であと1本が出ないまま9回になる。
9回は大勢投手(巨人=西脇工出身)と大城 卓三捕手(巨人=東海大相模出身)がバッテリーを組む。大城は守備の機会が、なかなかなかったことがあったこともあり、捕球ミスが目立ったものの無失点に抑え、サヨナラに賭けた。
9回裏のメキシコは、メジャーリーグでも活躍しているジオバニー・ガイェゴスをマウンドに上げる。日本は先頭打者の大谷が二塁打を放ち、チャンスを作る。続く吉田は四球を選び、無死一、二塁に。ここで吉田に代わり、代走の切り札・周東 佑京外野手(ソフトバンク=東農大二出身)が一塁ランナーとなる。この試合当たりがなかった村上に回るが、センターへのフェンス直撃の適時二塁打を放つ。その間に周東は一気にホームインし、逆転サヨナラ勝ちで決勝進出を決めた。
このメキシコ戦では、今大会初めて試合終盤までビハインドの展開になった。さらに、1次ラウンドでは、圧倒的なピッチングを見せていた佐々木や山本が打たれるなど、想定外な部分もあっただろう。この展開にも動じず、大谷を中心とした打線は、じわじわとプレッシャーをかけながら、得点を積み重ねて勝利した。
決勝は前回大会準決勝で敗れている米国。ベースボールの国とプライドのぶつかり合いを制し、世界一を奪還して栗山ジャパンとして有終の美を飾りたい。
(文=ゴジキ)