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東海大相模卒の技巧派右腕や筑波大の148キロ右腕など 関東選手権で活躍期待の選手たち

2023.03.14

 数多くの逸材が集まり、年々競技レベルが高まっていることで注目されている大学準硬式。高校時代に甲子園を経験したような実力者から、高校は軟式野球出身など、幅広い選手を受け入れる柔軟性に惹かれて、人気が高まっているカテゴリーだ。

 3月13日に第65回関東地区大学準硬式野球選手権大会が開幕。大学準硬式界の球春到来を告げる最初の大きな大会となり、選手たちの活躍ぶりに注目が集まる。そこで今回は隠れた逸材を紹介するためにも、関東地区大学準硬式野球連盟と協力して、ブレークの期待がかかる注目選手たちをできる限り紹介していきたい。

大学準硬式でも「戦国東都」 甲子園経験者から異色の経歴選手などに注目

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筑波大・橋本 剛石

 加盟数の多い東都大学連盟は、選手数も多い分、逸材が多い。強豪・中央大には甲子園を経験した佐竹 秀也外野手(3年=県立岐阜商)に期待。チームNo.1の努力家で、ライバルの多い中央大でも主力として活躍している。

 ライバルとなる日本大も、1年生からメンバーに入り、勝負強さに定評があった谷口 健斗外野手(3年=宮崎日大)が上位進出の鍵を握るが、東都1部で近年、力を付けている東海大はエース・稲野辺 元太投手(3年=東海大相模)はチェックしたい存在。最後の夏は新型コロナウイルスで甲子園はなかったが、主力投手としてベンチ入りを果たした。右サイドハンドから繰り出す直球とツーシームのコンビネーションで打たせて取る。

 専修大の俊足巧打の1番打者・吉田 竣希外野手(2年=星稜)も名門で腕を磨いてきた逸材だけに、見逃せない。

 ただ2部リーグにも実力者が多く、大学準硬式でも「戦国東都」の異名は変わらない。
 最注目は筑波大の橋本 剛石投手(3年=市立浦和)。高校時代は県大会ベスト16が最高だったが、現在は148キロの快速球を投げる大学準硬式屈指の怪物だ。

 身長は高いわけではないが、身体能力が高く、加えて向上心も高い。トレーニングに対しても意欲的に取り組む。甲子園でもメンバーに選ばれている文武両道を体現する逸材が、冬場の成果をどのように見せるのか。

 2部には他にも、2年生の時に長崎海星(長崎)の甲子園のメンバーに入った東洋大・丸嶌 遼投手(3年)もいる。12月に実施されたオーストラリア遠征にも召集されており、実力は確かなものだ。

 また大学準硬式というのは、あらゆるキャリアを持った選手たちを受け入れる柔軟性も他のカテゴリーにはない魅力の1つ。事実、4部に所属する東京農工大・齋藤 光太投手(3年=)は大学から野球を始めた異例の選手。それでもチームには欠かせない存在となっており、活躍のチャンスをつかんでいる。

 5部まで目を向けると、一橋大・布施 和伸投手(2年=東京学芸大附)は公認会計士の資格を取れるように勉強にも力を注ぐ。文武両道を重んじる大学準硬式だからこそ、どちらも集中して取り組めるのも、魅力といっていい。

[page_break:文武両道選手や元ラガーマンなど 個性派選手が多数]

文武両道選手や元ラガーマンなど 個性派選手が多数

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神奈川大・近野 歩飛

 猛者が集う東京六大学でも、様々な選手がいる。

 慶應義塾大・田中 瑞希投手(2年=慶應義塾)は高校時代、強豪・慶應義塾(神奈川)で1年生秋からベンチ入り。現在は130キロ後半の直球と、パワーカーブを上手く使った投球で打者を抑える。一方で、学校ではARやVRといった最新技術の勉強に励むなど、大学準硬式を象徴するような選手である。

 さらに明治大では鍵山 源太内野手(4年=桜美林出身)の経歴が異色で、高校時代はラグビー部で過ごしていた選手で、現在は代打として出場機会をつかむまで至った。実力者が集う明治大において、代打という形でも出場チャンスをつかんでいるのは、相当の努力の証であり、チームメイトも認めているという。

 努力と観点で見れば、神奈川リーグに所属する麻布大・松﨑 優外野手(2年)は獣医師になるため、地元・北海道から来た努力家。走攻守3拍子が揃っていることが強みの選手ということで、大会での活躍に期待がかかる。

 神奈川リーグは他にも、神奈川大の好投手・近野 歩飛投手(3年=神奈川橘)がいるなど楽しみな選手が多い。

 新関東リーグ、北関東リーグも楽しみな選手が多い。
 新関東リーグでは、創価大・松本 晃内野手(2年=東明館)が高校時代に甲子園に出場。スタメン出場を果たしており、2安打をマークと試合には負けたものの、全国でも実力を発揮した選手である。

 北関東リーグでは埼玉大・塩津 健志朗捕手(3年=秋田)は6月に伊豆で開催されたオールスターにも選ばれている選手で、チームの大黒柱の存在として大会での活躍に期待がかかっている。

 今回の特集をするにあたって、多くの選手がリストアップされた。学生主体でやっているからこそ、仲間の努力した姿を目の前で見ており、野球に対する思いを感じているのだろう。推薦する理由は様々だったが、是非1人でも多くの選手が今大会の活躍が期待したい。

(文=田中 裕毅

[page_break:【注目選手一覧】]

<東都大学1部リーグ>
中央大・佐竹 秀也
日本大・谷口 健斗
東海大・稲野辺 元太
専修大・吉田 竣希

<東都大学2部リーグ>
日本体育大・大塚 陸翔
筑波大・橋本 剛石
國學院大・金子 知暉
駒澤大・関根 諒介
東洋大・丸嶌 遼

<東都大学3部リーグ>
成蹊大・佐々木 悠生
亜細亜大・森山 奨太
獨協大・鈴木 良平

<東都大学4部リーグ>
東京農工大・齋藤 光太
立正大・小林 優太
東京都立大・後藤 優友
千葉大・谷口 湧崇

<東都大学5部リーグ>
東京理科大・柳原 周太郎
東京電機大・片桐 弘人
一橋大・布施 和伸

<東京六大学リーグ>
明治大・鍵山 源太
東京大・山中 涼雅
早稲田大・大澤 龍登
慶應義塾大・田中 瑞希

<神奈川リーグ>
麻布大・松﨑 優
横浜国立大・千葉 康太
関東学院大・陣副 和貴
神奈川大・近野 歩飛

<新関東リーグ>
北里大・五味 泰成
芝浦工業大・井坂 颯汰
国士舘大世田谷・上原 大吾
創価大・松本 晃

<北関東リーグ>
筑波大医学群・多田 虎太郎
自治医科大・佐瀬 圭太郎
防衛医科大学校・奥山 虎太郎
高崎経済大・東 翔斗
宇都宮大・大島 直幸
埼玉大・塩津 健志朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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