
大阪桐蔭のシートノックの模様
18日開幕予定の今年のセンバツで優勝候補として期待される大阪桐蔭(大阪)の注目ポイントは数多くある。その中で注目したいのが、そのチームの守備力を表すと言っていいシートノックだ。
8日、関西学院(兵庫)との練習試合前のシートノックでは昨秋よりも進化した姿を見せた。今年の守備は堅実で、特に送球が正確だった。高校生の中では強肩に入ると思うが、ずば抜けているかというとそうでもない。昨年のチームで言えば、海老根 優大外野手(SUBARU)のような圧倒的なスローイングではないが、内野手、外野手ともに低く鋭い送球ができている。ノーバウンドではなく、ワンバウンドを狙って低い送球ができていた。内野手も、センターラインの捕手、二遊間だけではなく、三塁手、一塁手も正確な送球ができている姿を見た時、チームとして徹底できていることに感心させられた。
実際の試合に入っても大きく乱れることなく、ポジショニングもしっかりとしていて、球際も強かった。
二塁手の村本 勇海内野手(3年)は、この冬はキャッチボールを大事にしてきたと語る。
「秋にチームとして守備に課題が出て、送球の正確性を求めていった時、何を大事にしたのかというとキャッチボールです。このキャッチボールにはしっかりと時間をかけました」
境 亮陽外野手(2年)も、この冬、正確な送球をテーマに守備練習に取り組んできた。
「冬場にしっかりとやってきて、自分の中でもしっかりとできていると思います」
守備から崩れることはなかった。走者を背負う場面は多かったが、それでも1点に留めることができたのも堅い守備があったからだろう。この試合、2番手としてマウンドに登った平嶋 桂知投手(2年)は「守備に助けられました」と安堵の表情を浮かべるほどで、期待されている2年生投手陣を助けていた。
村本は今年のチームでは守備ができないと勝てないと踏んでいる。
「今年は打てるチームでもなく、点を取れるチームでもないので、しっかりと守備で点を防いで勝つことが大事だと思っているので、守備練習を大事にしていきました」
村本が語るように、今年の野手陣は優秀な選手は多いが、高卒プロで行けるような「凄み」を見せる選手はまだいない。自分たちは何ができるか。それを理解しているクレバーな選手が多いのが今年の強みだ。
自分たちの課題を理解し、守備面で大きく成長を見せている大阪桐蔭ナインを見て、センバツで躍動する姿がますます楽しみになった。
(記事=河嶋 宗一)