大谷翔平らメジャーリーガーの合流で勢いづいたWBC日本代表 強化試合2試合を総括
メジャーリーガー勢揃いで打線が機能する
大谷翔平
8日に開幕するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた侍ジャパンの強化試合の主役は、なんといっても大谷 翔平投手(エンゼルス=花巻東出身)だった。メジャーリーグでもトップクラスのパワーは、多くの観客の度肝を抜いた。
メジャー組は、直前の合流のため本戦前は2試合しか実戦がないことから不安視をされていたが、それを感じさせない活躍を見せた。
特に阪神との強化試合では、2打席目に膝をつきながらホームランを放つ。さらに、3打席目にはバットを折りながらホームランを放った。メジャーでもタイトル争いをするほどの実力者でもある大谷が打線の中心になるだろう。
試合前のフリー打撃でも、日本人離れした飛距離を見せていたが、実戦の舞台でもメジャートップクラスのパワーを見せた。強化試合で既に活躍を見せる大谷だが、後ろを打つ打者の重要性がさらに高まったに違いない。初戦の中国戦から二刀流で出場すると言われている大谷のプレーには注目である。
また、東京五輪で活躍を見せた吉田 正尚外野手(レッドソックス=敦賀気比出身)も、阪神戦とオリックス戦で、持ち前のクラッチ力を生かし、2試合連続で適時打を放った。吉田は移籍1年目の中でWBCの出場となったが、オリックス時代と同様に積極的に仕掛けていた。三振率の低さを見るとほぼ初見の国際大会は期待できるだろう。
さらに、メジャー組からはセンターとして期待されるラーズ・ヌートバー外野手(カージナルス)にも注目だ。昨シーズンの四球率は14.7%で、これはメジャーで300打席以上立った打者で6位だった。大会序盤は、アジア・オセアニアとの対戦のため、見慣れないフォームが多いことから、実践的な調整が難しい中で、求められる役割を発揮できるかが注目だ。強化試合では、積極的にスイングを仕掛け、2試合ともにヒットを記録した。
このヌートバーが出塁し、大谷と吉田を並べた上で、ランナーを返せるかが鍵になっていくだろう。
[page_break:豪華先発投手陣の一角山本由伸は不安が残る内容に]豪華先発投手陣の一角山本由伸は不安が残る内容に
山本由伸
今年からフォームを変えた山本 由伸投手(オリックス=都城高出身)は不安が残る内容だった。 2年連続沢村賞を獲得した実績はもちろんのこと、プレミア12や東京五輪も経験しているため、球への対応力は高いと思われる。しかし、クイックに近いフォームに変える前の方が良かったように見える。
山本の場合、国内組の先発投手としては、大事な試合も任される可能性が高いため、復調することが優勝への絶対条件だろう。
ただ、プレミア12でも大会序盤はあまり調子が上がらない中で、大会中盤あたりから本来のピッチングを取り戻した。元々の能力や対応力の高さを考えると、自らが登板する試合にしっかりと合わせてくれるだろう。
不振だった選手たちがこの2試合で結果を残す
村上宗隆、山川穂高
これまで不振だった村上 宗隆内野手(ヤクルト=九州学院出身)や山川 穂高内野手(西武=中部商出身)は、オリックス戦でホームランを放ち、大会前になんとか結果を残すことができた。
村上の場合は、日本の4番という重圧があったこともあり、阪神戦まではなかなか結果が出なかった。オリックス戦では、打順を6番に下げて3ランを放ち、最悪な状態からは抜け出して本戦に臨めそうだ。
長打力が期待される山川は、岡本 和真内野手(巨人=智辯学園出身)や牧 秀悟内野手(DeNA=松本第一出身)がいるため、ベンチスタートになる可能性は高いが、1次ラウンドで出場する際は、一発に期待していきたい。
投手陣では心配されていた松井 裕樹投手(楽天=桐光学園出身)が、大谷のアドバイスから改善された可能性もあり、阪神戦では復調の兆しが見られた。
あとは、国際大会の経験豊富な山田 哲人内野手(ヤクルト=履正社出身)の復活が望まれる。山田の場合は、経験値の高さはもちろんのこと、プレミア12や東京五輪の韓国戦で試合を決める一打を放っているため、キーパーソンになるだろう。
阪神戦、オリックス戦で投打共に調子が上向いた日本の戦いぶりに期待していきたい。
(記事=ゴジキ)