
高校時代の李政厚(イ・ジョンフ)
2023ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンドで、日本は10日に韓国と対戦する。
1次ラウンドで日本のライバルはなんといっても、プレミア12や東京五輪でも凌ぎを削った韓国だろう。これまでのWBCを見ても、直近2大会こそは1次ラウンド敗退したが、第1回大会や第2回大会では、世界の強豪に勝利するなど、野球のレベルの高さが感じられた。
韓国は2013年大会と2017年大会は2年連続で、1次ラウンド敗退となった。そんな中で今大会はメジャーリーガーを招集する。
金河成内野手(パドレス)と韓国系米国人の母を持つトミー・エドマン(カージナルス)の2人が、二遊間を組むとも言われている。
2選手ともに中距離ヒッターであるが、エドマンはゴールドグラブ賞獲得の経験がある。金河成は遊撃手でありながら、KBO時代はシーズン30本塁打を記録している。国際大会の日本戦では2019年のプレミア12の決勝戦で山口 俊投手(巨人=柳ヶ浦出身)からホームランを放っている。さらにメジャーではダルビッシュ 有投手(東北高出身)とチームメイトでもある。そのため、韓国戦で先発が予想されるダルビッシュとの対戦は注目度も高くなるだろう。この二遊間が中心となるが、実戦には出場できないことが、懸念材料である。センターラインが、実戦から遠のいている中で開幕するが、2戦目の日本戦でどこまで試合勘を取り戻せるかがポイントとなりそうだ。
また、かつて中日に所属していた李鍾範の息子である李政厚にも注目だ。類稀なセンスを持った野手で、2017年に韓国リーグで新人王に輝き、プロ入りから3割を常に記録しており、KBOで2年連続首位打者に輝いている。東京五輪では、山本 由伸投手(オリックス=都城高出身)からフェンス直撃のヒットも放つなど、初見でも難なくコンタクトできる能力はずば抜けているだろう。
さらに、2度の五輪やWBC、プレミア12を経験している元メジャーリーガーの金賢洙は、国際大会を知る選手である。コンタクト力が抜けており、厄介な打者である。北京五輪では岩瀬仁紀投手(中日=西尾東出身)から決勝打を放ち、2009年のWBCではベストナインにも輝いている。さらに2015年のプレミア12では大会MVPに輝いており、国際大会の勝負強さは頭ひとつ抜けている。間違いなく、注意すべき打者だ。
投手は国際大会で経験豊富な金廣鉉が牽引しそうである。金廣鉉に関しては、北京五輪で日本打線を徹底的に抑えたが、その後の2009年WBCや2015年プレミア12で打ち込まれている。ただ、対戦した打者は山田 哲人内野手(ヤクルト=履正社出身)のみの状況のため、日本戦で登板となれば山田を中心に攻略できるかがポイントだ。
この山田は韓国戦に非常に強い。2019年のプレミア12では優勝を決める逆転3ランを放った。さらに、東京五輪では勝ち越しの適時二塁打を放ち、韓国に勝利。好不調の波は激しい選手だが、「韓国キラー」を発揮できるかが注目だ。
先発が予想されるダルビッシュは、2009年のWBCで韓国戦に登板している。その試合では、初回に連打やエラーでいきなり3点を失い、負け投手となった。また、決勝も登板したが、最終回に追いつかれている。ダルビッシュとしては、その時の雪辱に燃えるだろう。
2000年代は世界を相手に渡り合えた韓国。直近の国際大会(2019年プレミア12、東京五輪)を見ても、日本との対戦は連敗中ながらも全て接戦である。かつて世界を苦しめた、多彩な投手陣の小刻みな継投策の前に、苦しむ展開も可能性としてはあるだろう。打撃陣が苦しんでいる日本だが、宿敵の韓国を含め、1次ラウンドを全勝して、気持ちよく準々決勝に進みたいところだ。
(記事=ゴジキ)