藤浪・森の強力なバッテリーで初の春夏連覇を果たした2012年大阪桐蔭
高校時代の藤浪晋太郎、森友哉
2012年の夏、大阪桐蔭(大阪)は、甲子園で1度もリードを許さず、相手を寄せ付けない力の差を見せつけた。
下記が戦績と選手の成績である。
・大阪桐蔭(2012年夏)大会戦績
決勝 :3-0 光星学院(現・八戸学院光星=青森)
準決勝 :4-0 明徳義塾(高知)
準々決勝:8-1 天理(奈良)
3回戦 :6-2 済々黌(熊本)
2回戦 :8-2 木更津総合(千葉)
・大阪桐蔭(2012年夏)選手成績
打撃成績
(捕)森 友哉 打率.400 2本塁打 2打点
(二)大西 友也 打率.200 0本塁打 2打点
(右)水本 弦 打率.421 0本塁打 4打点
(一)田端 良基 打率.389 2本塁打 5打点
(左)安井 洸貴 打率.429 0本塁打 4打点
(三)笠松 悠哉 打率.353 1本塁打 5打点
(中)白水 健太 打率.100 1本塁打 2打点
(遊)妻鹿 聖 打率.091 0本塁打 0打点
(投)藤浪 晋太郎 打率.267 1本塁打 1打点
チーム打率.295
投手成績
藤浪 晋太郎 36回 49奪三振 防御率0.50
澤田 圭佑 9回 5奪三振 防御率2.00
チーム防御率0.80
この年の夏の甲子園における藤浪は、歴代最高の優勝投手と言っても過言ではない。初戦から危なげないピッチングを見せ、準決勝と決勝は完封勝利を挙げた。藤浪の2番手として控えていた澤田も、トップレベルの実力だった。主要投手2人がプロ入りするレベルの投手陣には、対戦する相手チームもお手上げの状態だったのではないだろうか。
2人の投手陣を援護する打線は、数字的な意味で派手さはないものの、西谷浩一監督が「高校までに見てきた中で、一番いいバッター」と評価していた森が1番に座る。初回から森に打席が回ることも、相手には大きなプレッシャーになっただろう。
2005年と2006年に夏連覇を果たした駒大苫小牧(北海道)や、2010年に春夏連覇を成し遂げた興南(沖縄)と比較しても、この年の大阪桐蔭は選手個人の力が高いことがわかる。当時の藤浪や森のプレーを見ると、プロ野球選手が高校生と一緒にプレーしているように見えた。
そんな2012年の大阪桐蔭の勝ち上がりを振り返る。
初戦は藤浪が完投し、木更津総合に危なげなく勝利。大竹 耕太郎投手(阪神)を擁する済々黌との3回戦では、澤田が先発する。この試合は、同点の4回に澤田が自らを援護するホームランを打ち、次打者の森も2者連続ホームランを放ったことで大竹を攻めたてる。さらに、6回には4番の田端にホームランも出て、一発攻勢で勝利した。
準々決勝は、大阪桐蔭が春に苦しめられた浦和学院(埼玉)に勝利した天理。前年秋の近畿大会で敗れている因縁の相手でもある。しかし蓋を開けてみると、初回から森の先頭打者ホームランから始まり、藤浪もホームランを放ち、得点を積み重ねていった。藤浪も投げては13奪三振を記録する完投勝利。8対1の大差で勝利したが、この試合の藤浪について、西谷監督が「今日は球数も少なく、藤浪を褒めてやろうと思ったら被弾。何か課題を残してくれる投手です」とコメントしたのが印象的だった。
圧倒的な強さを誇った2012年の夏で大阪桐蔭が唯一危なかった試合は、大阪府予選決勝の履正社戦。この試合ではそれまで1失点ピッチングだった藤浪が、9点リードで迎えた8回に履正社打線に連打を浴び7失点して追い上げられた。
そのような危機を潜り抜けたためか、甲子園の戦いは初戦から決勝までパーフェクトに近いものだった。甲子園の観客も、大阪桐蔭が凄すぎるが故に、静かに見守るしかない、といった様子だった。
この優勝から大阪桐蔭は、甲子園で「勝って当たり前」と見られる常勝チームになったと言っても過言ではないだろう。
(記事=ゴジキ)