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オリックス・宮城など輩出のポニーリーグ 元プロ・広澤克実理事長が進める球数制限に現場の反応は?

2023.01.18

 野球人口の減少が問題視されている野球界で、ポニーリーグでは登録選手数が増え続け、少しずつ人気が上昇している。他の連盟にはない指導理念10か条のもとで、各チームが選手を指導することに加え、大会運営などが執り行われていることも、人気上昇の要因となっている。

 理事長に就任して4年が過ぎた元プロ野球選手、広澤克実理事長らを中心に、「選手ファースト」の考えのもと、大会ルールなどが設定されている。その最たるものが「球数制限」だろう。

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元プロ野球選手・広澤克実氏が理事長務めるポニーリーグ 近年人気上昇中のリーグはどうして木製バットを使わせるのか

球数制限の採用に現場からの声は?

オリックス・宮城など輩出のポニーリーグ 元プロ・広澤克実理事長が進める球数制限に現場の反応は? | 高校野球ドットコム

 近年、高校野球でも球数制限が設けられたことで、徐々に肩・肘を守るという意識は強まってきた。ポニーリーグでも意識は強く、かなり細かく設定している。

中学1年生 1試合60球(変化球禁止)
中学2年生 1試合75球
中学3年生 1試合85球

 ポニーリーグが掲げる「SUPER PONY ACTION 2020」に明示された球数制限。5月に開催された2022美津和タイガーインビテーション広澤克実杯全日本地域対抗選手権大会兼日本代表選手選考会では、ピッチスマートが適用され、1日の最大投球数が95球まで制限がかけられた。

 大会に参加していた選手らには「ストライク中心に投げられるようになりました」と技術に対する影響がある選手もいれば、「球数を気にすることで、無駄球を使わないので、身体の負担が減った」とフィジカルに対するプラスを感じた選手もいた。

 広澤理事長も球数制限のルールによって、選手たちが自身の投球に思考が伴ってくる意義を感じているようだった。

 「ポニーリーグに所属している限り、球数に対して意識してくれると思うので、配球も考えるはずです。技術が成長する中学生の時期に、考えてプレーしてもらえたらと思います」

[page_break:トミージョン手術の第一人者によるアドバイスも]

トミージョン手術の第一人者によるアドバイスも

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広澤克実杯では球数制限をカウントする電光掲示板も活用

 ポニーリーグが投手の肩・肘を守る動きは、大会ルールで球数制限を設けるだけではない。

 トミージョン手術の第一人者ともいえる慶友整形外科病院の古島弘三先生が、常務理事、そして最高医療責任者という役職を務め、障害予防の一環として肩・肘のチェックをしている。

 もちろん、選手たちに向けて古島先生なりの視点から見たアドバイスも送っている。広澤理事長は「子どもたちの肩・肘の仕組みを勉強させてもらっていますし、ケガから守るという意味で、違う視点から意見をもらえることは役立っています」と話し、古島先生の存在の大きさを改めて主張した。

 協会を挙げて投手の肩・肘を守ろうとする動きは、中学硬式界では、まだ少ない。選手たちの将来を大事にするポニーリーグの特色を強く出ているところといっていいだろう。

 広澤理事長もケガに対しては敏感で、ポニーリーグ全体で故障防止をしようとしている姿勢が見えてきた。

 「ポニーリーグに指導理念があることを理解して選手、チームが加入してくれていますが、勝利を目指しながら選手たちのケガを防止して、選手全員が出て喜べるチームになれるように、協会からアドバイスをできればと思います」

 『国の宝である青少年の成長を守る』と協会ホームページにも記載があるが、言葉だけではない。協会全体が立ちあがって、選手たちの未来を本気になって守ろうという動きを見せている。球数制限はそれを象徴する仕組みといっていい。

 近年は西武・平良海馬投手(八重山商工出身)やオリックス・宮城 大弥投手(興南出身)、東邦(愛知)・宮國 凌空投手(2年)といった数多くの好投手がポニーリーグを卒業後、上のステージで活躍している。確実に現在の取り組みは成果が出ているといっていいだろう。

 これからも「選手ファースト」を貫いていくであろうポニーリーグの取り組みは、野球界にどういった影響を及ぼしていくのか、注視していきたい。

広澤 克実
一般社団法人 日本ポニーベースボール協会 理事長
1984年のドラフト会議でヤクルトから1位指名を受けて入団。その後、19年間で巨人、阪神と渡り歩き、1893試合出場。2018年に現在の役職に就く。

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(記事:田中裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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