Column

静岡、県立岐阜商など伝統校は独自システムで強化 東海地区の公立校の現実

2023.01.12

静岡、県立岐阜商など伝統校は独自システムで強化 東海地区の公立校の現実 | 高校野球ドットコム
法月彰弘(静岡)

 昨年夏の東海4県でベスト4に残った公立校は、岐阜県では2年連続の甲子園出場を果たした伝統の県立岐阜商に加え、三重県では2年連続夏甲子園出場の三重三重以外の3校は準優勝の津商松阪商菰野と、いずれも公立校が残った。また、静岡県では掛川西が準々決勝で静岡との公立伝統校対決を制して4強入り。私学優勢という今の時代の中で、これらは健闘したほうだといえよう。

 そして、秋季県大会でも三重県では津商が準優勝し、木本もベスト4に残り、21世紀枠の東海地区推薦校に選出された。さらには、三重白山、宇治山田商四日市工といったところもベスト8に残った。三重県では、こうして公立勢が結果も残しており、健闘が光る。

 岐阜県では、市立岐阜商と岐阜がベスト4に残り、東海大会進出の3位決定戦を争った。県立岐阜商大垣日大に敗れはしたもののベスト8には残った。ほかには、関商工岐阜城北も8強入りを果たしている。岐阜市立岐阜商、さらには岐阜第一を下した岐阜城北と岐阜聖徳を下した関商工は健闘したといっていいであろう。県立岐阜商は、周囲の後押しもあって、独自の強化システムも定着しているので、県内4強の位置をキープしている。

 しかし、愛知県の場合は昨年夏は愛工大名電東邦享栄愛知啓成と私立校が独占した。21年夏は大府が健闘して4強に残ったが、22年夏はベスト8に残った公立校は、名古屋市立の富田のみだった。それでも、東浦中京大中京を下すなど、序盤の戦いでは健闘が目立った。また、愛知向陽もいい雰囲気の戦いで4つ勝ってベスト16にまで残ったのは立派だった。

 秋季県大会も何とか大府刈谷がベスト8に残ったものの、やはり公立勢にとって、上位への壁は厚いという現実は否めない。それでも、西三河地区では西尾東安城西尾三好、さらには岡崎工科刈谷工科といったところがしのぎを削りあっている。東三河でも、伝統の成章をはじめ時習館蒲郡渥美農などが上位進出を窺っている。

 尾張地区では小牧工科尾北、近年充実している西春犬山などが健闘している。知多地区でも、大府を追って半田横須賀東浦あたりが近年は健闘している。

 選手獲得などに関しては、どうしても私学に比べると入学枠などでの不利は否めないというのは現実だろう。それでも、限られた条件の中で、それでも指導者たちも、積極的に地域の中学校などに働きかけるなどして、より、理想に近づいていけるように努力している。

 静岡県では、県を代表する伝統校の静岡などには、学校裁量枠というスポーツ推薦制度があり、県内の有力選手に関しては、ある程度は選手獲得ができるという独自の制度があるので、東海地区でも愛知県などに比べたからかなり許容範囲が広く入学枠を確保することができている。こうした県を挙げての協力体制があることで、静岡掛川西といった県立校の進学校が野球でも上位を競い合うことができている。こういう制度がある以上、それをどう生かしていくのかということもまた、学校の方針であり、チーム強化の方向性といってもいいであろう。

(記事:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.18

【神奈川】保土ヶ谷球場では慶應義塾、横浜が登場!東海大相模は桐蔭学園と対戦!<春季県大会4回戦組み合わせ>

2024.04.18

強豪校を次々抑えて一躍プロ注目の存在に! 永見光太郎(東京)の将来性を分析する<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.04.18

首都二部・明星大に帝京のリードオフマン、東海大菅生技巧派左腕などが入部!注目は184センチ102キロの大型スラッガー!

2024.04.18

【春季埼玉県大会】ニュースタイルに挑戦中の好投手・中村謙吾擁する熊谷商がコールド発進!

2024.04.18

【岡山】センバツ出場の創志学園は2回戦から登場! 2回戦で昨年夏の決勝戦と同じカードが実現の可能性も!<春季県大会地区予選組み合わせ>

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.15

四国IL・愛媛の羽野紀希が157キロを記録! 昨年は指名漏れを味わった右腕が急成長!

2024.04.17

仙台育英に”強気の”完投勝利したサウスポーに強力ライバル現る! 「心の緩みがあった」秋の悔しさでチーム内競争激化!【野球部訪問・東陵編②】

2024.04.15

【春季和歌山大会】日高が桐蔭に7回コールド勝ち!敗れた桐蔭にも期待の2年生右腕が現る

2024.04.16

【群馬】前橋が0封勝利、東農大二はコールド発進<春季大会>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード