年が明け、2023年を迎えた。野球界では3月にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕し、閉幕後にプロ野球も開幕する。

 また日本ハムの新しい本拠地「エスコンフィールド北海道」が開業。「北海道ボールパーク構想」が一定の着地点に到達する。

 このように話題に事欠かない2023年だが、新しい年を迎えるにあたって、本稿記者が今年注目する北海道関連の高校野球選手を何人かピックアップさせてもらった。

イチオシは北海・熊谷投手



熊谷陽輝(北海)

 本稿記者が今年一番注目したいのが、北海熊谷 陽輝投手(2年)だ。熊谷は右投げ右打ち。183センチ、97キロと、がっちりとした体格で、そこから最速143キロの速球を投げ込む。北海道・新十津川町生まれで、空知滝川シニアなどを経て北海へ。昨年の秋季大会ではエースとして登板し、決勝戦でも本塁打を放つなど打撃でもチームを引っ張った。

 北海は昨年の秋季大会決勝でクラーク記念国際に敗れた。それを受け、熊谷はこれからの課題について「体力をつけること。1人で投げ切ることができるピッチャーになりたい」と口にし、「夏(の甲子園)に向け、冬にトレーニングをしてそれ(甲子園)をつかめるように頑張りたい」と明かしていた。平川敦監督も「もう1レベル上の投手になれる位置には来ている」と期待を寄せる。

 果たして、今年はどのような姿になって返ってくるのだろうか。ドラフト候補としても注目される投手であるため、その動向が注目される。

クラークの新岡投手など、他の注目選手も沢山



新岡歩輝(クラーク記念国際)

 クラーク記念国際の技巧派右腕、新岡 歩輝投手(2年)は昨年の秋季大会を1人で投げぬき、優勝の立役者となった。身長は175センチと小柄ながら、あるときはアンダースロー気味に、またあるときはサイドスローから球を投げ込み、「そこから6種類の球を投げる」という。

 佐々木啓司監督をして「(新岡の)球は絞りづらく多彩なため、もし自分が相手だったとしたら攻略が難しいだろう」と言わしめた。

 秋季大会終了後、「(春は)チーム力を上げ、個々の打撃力も上げたい。個人としては体重を増やしていければ」とオフの目標について話した。彼にとって最後となる高校野球生活が幕を開けた。

 東海大札幌阿部 堅心投手(2年)は、最速142キロを誇る左腕。2022年のドラフト2位で阪神に入団した門別 啓人投手は先輩にあたり、同じ左腕としてフォームなどについて教えてもらうことが多々あったという。

 秋季大会では初戦となった北海道栄戦に登板。5回を2安打7奪三振無失点だったが、2回戦の白樺学園戦では8回を投げて14安打。9個の三振を奪い、149球の熱投もむなしくチームは2対3で惜敗した。試合後、大脇英徳監督は「(阿部にとって)1球の大切さを感じられたのでは。疲れ(への対応)も含め、タフにならなければならない」と手厳しかった。

 阿部は大化けすればドラフト上位候補として注目される可能性は大いにあるため、どのような成長を遂げているのか楽しみだ。

 阿部と同じ左腕では、北海の長内 陽大内野手(2年)にも注目だ。一塁手として主に試合に出場しているが、秋季大会で投手として3.1回を投げ、4安打4奪三振1失点と役割は果たした。打撃では打率4割を記録し、出場した5試合のうち滝川戦以外では安打を記録している。これからの成長に期待がかかる選手である。

 そのほか、立命館慶祥の岩渕 正晃投手(2年)や秋季全道大会で選手宣誓を務めた帯広農干場 雄心内野手(2年)など将来、有望な選手は沢山いる。

 今年初めて開催される大会は春季大会だが、その時期までに各々の選手たちはどれくらい成長しているのだろうか。選手たちがプレーしている姿を見るのが楽しみだ。

(文=小林英介)