東邦、常葉大菊川などに期待。2023年の東海地区高校野球を占う
常葉大菊川など静岡勢が東海地区をリード中!23年の注目校は?
福住 柚稀(常葉大菊川)
21年春から3大会連続で東海大会を制してきた静岡勢。22年秋も常葉大菊川が準優勝して今春のセンバツをほぼ手中にしている。それだけに、東海地区をリードしている存在ともいえるのかもしれないが、優勝校も大会ごとに異なっていて中部、西部、東部の各地区の勢力がバランスよく整ってきたともいえそうだ。
東部地区では秋季県大会の3位決定戦を争った加藤学園と知徳。さらには、日大三島と御殿場西もチーム力はある。公立勢では沼津東と沼津商の評判が高い。イチローが指導に訪れた静岡富士も、それを1つの飛躍のきっかけとして、どんな戦いを示してくれるのか期待したい。知徳の長身196センチの小船 翼投手(1年)は一冬を越えてどこまで成長しているのか楽しみだ。
中部地区では県大会で自信を得た常葉大橘に静岡と藤枝明誠の実力校を軸に、東海大翔洋、静清が追う。さらには静岡商、島田商の伝統校に駿河総合も面白い。静清の松井 大空捕手(2年)は全国的にも注目される存在だ。
西部地区では、常葉大菊川が引っ張る形となりそうだが、掛川西の巻き返しも期待したい。また、昨季話題になった聖隷クリストファーや昨春の東海地区大会優勝校で存在を示した浜松開誠館も投打に能力の高さを示している廣崎 漣投手(2年)が健在で注目だ。吉松 礼翔内野手(2年)もセンスがいい。抜けた存在がないだけに、地区予選からの競り合いで、新しく躍進してくるところも現れそうだ。
相対的にみると、今年は秋季大会で決勝を争った常葉大菊川と常葉大橘の常葉大系列校がリードしていくのか。これに静岡、掛川西、静岡商、島田商などの伝統の公立勢と浜松開誠館、聖隷クリストファーなどの新鋭校がどう絡んでくるのかということになりそうだ。さらには、加藤学園、御殿場西、日大三島勢の東部地区勢がどこまで食い込んで来るかということになりそうだ。
[page_break:東海王者・東邦を中心にドラフト候補左腕擁する享栄など23年の球国愛知の主役は?]東海王者・東邦を中心にドラフト候補左腕擁する享栄など23年の球国愛知の主役は?
宮國 凌空(東邦)
来季もいわゆる私学4強が中心になっていくことは間違いないのだが、戦力的なバランスから見ると今のところは東邦、愛工大名電、享栄、中京大中京の順か。それを至学館、愛知産大工、星城などの名古屋地区勢が追いかける構図になる。
東海地区大会を制した東邦は宮國 凌空投手(2年)に注目が集まる。打線も、やはり層は厚い。愛工大名電は笹尾 日々喜投手(2年)が秋季大会を通じて成長してきた。1年の段階からドラフト候補といわれている東松 快征投手(2年)が最終学年となる享栄。大藤敏行監督も、そろそろ甲子園を実現させたいところであろう。中京大中京は、やや粒が小さいともいわれているが4番を任されている大西 遼多内野手(2年)のパンチ力と飛距離は注目だ。愛産大工の天野 京介投手(2年)も評価は高い。
三河勢では、全三河大会を制した愛知産大三河が勝負強さを示している。図抜けた選手がいるわけではないが、手堅い野球には定評がある。豊川、愛知桜丘、豊橋中央の東三河の私学3校も、それぞれまとまっている。豊川のエース川口 颯太投手(2年)は三河地区一と評判が高い。その川口を全三河大会で攻略したのが愛知桜丘で、この両校は力がある。
公立勢では21世紀枠の県推薦校となった刈谷や、夏のメンバーが多く残った三好、さらには安城、西尾、西尾東、岡崎工科に刈谷工科などの西三河勢は相変わらず充実している。それを成章、時習館に近年躍進している豊橋西などが追う。刈谷は重野 颯吾投手(2年)、岡崎工科は永井 海投手(2年)、安城の本田 塁投手(2年)も期待の投手だ。
知多地区では大府の復活が見えてきた。全尾張大会でも準優勝となったが、東浦から異動してきて、当初はやや戸惑いもあった中嶋勇喜監督のスタイルも徐々に浸透してきているようだ。その対抗勢力としては日本福祉大付があるが、一冬越えてどこまで成長しているか楽しみでもある。また、半田と横須賀という地域を代表する進学校勢も健闘している。
尾張地区では誉、誠信、愛知啓成、愛知黎明といった私学勢が軸になるが、公立勢では県大会でベスト16にまで進出した尾北や西春と小牧工科が注目される。この秋ドラフト1位選手を輩出した誉では、子迫 創太投手(2年)の評価も高い。さらには、愛知啓成の清水 鳳史外野手(2年)も好投手だ。
また、一冬越えて躍進してくるチームもいくつかあるだろう。そんなチームにも期待したい。
大垣日大、県立岐阜商など実力校6チームが軸。23年の岐阜をリードするのは?
山田 渓太(大垣日大)
ここ何年か、上位校には岐阜中京、大垣日大、県立岐阜商、岐阜第一の4校が安定して残っていたのだが、昨年秋は県立岐阜商が大垣日大に準々決勝で敗れ、岐阜第一も3回戦で岐阜城北に敗退している。代わって4強には21世紀枠の県推薦校となった岐阜と市立岐阜商が食い込んだ。そして、3位決定戦では市立岐阜商が岐阜に3対2で競り勝った。ということで、この6校が、2023年の岐阜県をリードしていくのではないだろうか。
その中でも、東海地区大会でベスト4にまで進出して2年連続のセンバツ出場の可能性も大きくなってきている大垣日大がややリードか。センバツでも登板した経験のある山田 渓太投手(2年)が軸の投手陣を中心とした手堅い野球と、78歳の超ベテランの阪口慶三監督がどんな采配をしてくるのかも見どころだ。
県大会決勝では、その大垣日大に逆転サヨナラ勝ちした岐阜中京は菅澤 宙投手(2年)が安定しているが、東海大会では加藤学園にコールド負けを喫したように脆さもある。このあたりを春までに、どこまで克服してきているかというところだ。
惜しくも21世紀枠の東海地区推薦を逃した岐阜だが、県大会準決勝では岐阜中京に9回に1点差まで迫るなど健闘した。一冬越えて、さらなる成長は期待できそう。
県岐阜商はもちろんのこと、ベスト8に残った関商工、岐阜城北、高山西などに加えて、岐阜総合学園も注目していきたいところであろう。岐阜城北では、秋田 和佳捕手(2年)が高評価だ。
[page_break:絶対王者・三重を追う実力校は?]絶対王者・三重を追う実力校は?
三重ナイン
昨年は三重三重が夏に続いての秋も優勝となった三重大会。秋季県大会は21年に続いての優勝ということになったが、近年最も安定した存在といっていいであろうか。182センチの前田 龍太朗投手(2年)と、185センチ左腕の徳本 太一投手(1年)にもう1人の左腕、伊藤 佑真投手(1年)と投手陣の層は厚い。打線も、上位は夏の経験者で固めており経験値も高く、やはり今季も三重三重を中心として動いていくことになるだろう。
追う勢力としては、このところ安定して上位に残っている津商と、機動力野球の三重海星に近大高専と伝統の宇治山田商と、好投手の中山 勝暁投手(2年)がいる三重高田が挙げられる。21世紀枠の東海地区推薦校に選出された木本も、これを励みに躍進が期待される。木本は少人数での取り組みということも話題になっているが、ベスト4進出の原動力となった榎本 和真投手(2年)への期待値も高い。
また、2018年夏に甲子園初出場を果たして一躍注目される存在となった三重白山は、昨年秋もいなべ総合を破るなどして健闘している。
その、いなべ総合とともに、かつて県内を引っ張っていた公立の雄といわれていた菰野は昨年秋は県大会の初戦で敗退となってしまったので、今春以降は巻き返しにかかってくるであろう。さらには津田学園と皇學館も目が離せない。
面白い存在としては神村学園伊賀もある。秋の中地区予選では津西、三重白山、三重高田といった難敵を下しての県大会進出となった。県大会では延長で近大高専に屈したものの、その戦い方は新しい勢力として注目されそうだ。
(記事:手束 仁)