札幌圏内が優勢だった22年 圏外からのドラフト選手誕生も目立った1年に
斉藤 優汰(苫小牧中央)
北海道の高校野球を語る中で、よく言われているのが「札幌圏の高校」VS「それ以外の高校」という構図だ。夏の甲子園の地方大会だけは「北北海道」と「南北海道」に分かれて戦うが、それ以外だと全道大会は札幌市の[stadium]札幌円山球場[/stadium]や[stadium]札幌麻生球場[/stadium]などで行われることが多い。
そのため、「移動距離が短い札幌圏のチームが有利だ」といったことがよく言われるが、実際はどうだったのか。それを頭に入れつつ、今年の大会を春から順に振り返ってみよう。
第61回春季北海道高校野球大会では、札幌圏から札幌日大、北照、東海大札幌、北海、札幌第一、北星大付が、それ以外では旭川明成、白樺学園、稚内大谷、知内、駒大苫小牧、北見緑陵、釧路工、苫小牧中央、滝川西、クラーク記念国際が出場している。
札幌圏のうち初戦に勝ったのは札幌日大、北照、東海大札幌、札幌第一で、6校中4校と半数を超えている。試合が進み、準決勝の状況を見ても、ベスト4が北照、東海大札幌、苫小牧中央、札幌第一と4校中3校が札幌圏の高校だった。なお、この大会は札幌第一が北照を9対3で破って春季大会王者となっている。
第75回秋季北海道高校野球大会では、札幌圏から北海、札幌日大、札幌新川、札幌龍谷、北照、立命館慶祥、東海大札幌と7校が、それ以外では滝川、帯広農、函館大柏稜、函館大有斗、釧路工、旭川龍谷、北見柏陽、駒大苫小牧、クラーク記念国際、旭川明成、稚内大谷、北海道栄、白樺学園が出場した。
このうちベスト8に残ったのは北海、札幌日大、函館大柏稜、札幌龍谷、北照、クラーク記念国際、立命館慶祥、白樺学園で、札幌圏は札幌日大、札幌龍谷、北照、立命館慶祥の4校と半数に上った。この大会ではクラーク記念国際が北海に延長10回で3対1と勝利し、2連覇を達成している。
このように、札幌圏の高校が安定した成績を保っている中、札幌圏以外の高校からは広島からドラフト1位指名された苫小牧中央の斉藤 優汰投手のように、「個」の力が見えた選手がいたのも事実である。
坂本 拓己(知内)
また個人的に気になっているチームも挙げたい。札幌支部の立命館慶祥は2009年の春の全道大会で優勝して以降、なかなか殻を破れていない印象だったが、今年の秋季大会ではベスト4。2022年に横山 蔵人監督が名付けた「キタキツネ打線」は、2023年に花開くことができるのだろうか。
函館支部の知内は町立高校。私立高校が力をつけ始めている高校野球の中、2022年は春季大会で駒大苫小牧、南北海道大会でも札幌日大や東海大札幌に勝ち、準優勝という成績だった。ただ、エースの坂本 拓己投手(ヤクルト4位指名)という大黒柱が抜け、チームの再建は急務だ。
2023年も私立高校が公立高校の前に立ちはだかる構図は変わらないだろうが、知内のように公立高校にはぜひ頑張ってほしいと個人的には思う。また2023年の秋季全道大会では、開催する球場を[stadium]札幌ドーム[/stadium]に変更。[stadium]札幌ドーム[/stadium]を本拠地にしていたプロ野球パ・リーグの日本ハムが、北海道北広島市の「[stadium]エスコンフィールド北海道[/stadium]」に本拠地を移転することから、開催が決定した。
[stadium]札幌ドーム[/stadium]のホームページによれば、開催決定に至った経緯として、秋季大会では季節柄、日没時間が早く、天候不順となることも多いため、[stadium]札幌ドーム[/stadium]には時間帯・天候に関わらず試合を行う環境が整っているとした。さらに秋季大会の王者は人工芝を使用している[stadium]神宮球場[/stadium]で[stadium]明治神宮大会[/stadium]を戦うことになるため、その環境に慣れてもらい、高いパフォーマンス発揮してもらうといった理由もあるという。
球児たちにとっては思う存分試合に集中できる環境だ。今回の取り組みがうまくいけば、今後も継続的に[stadium]札幌ドーム[/stadium]を活用する可能性は大いにある。選手たちからどのような反応が返ってくるのか気になるところだ。
今年も様々な動きがあった北海道の高校野球界。来年はどのような選手たちがどのような活躍を見せるのか。取材記者の1人として楽しみにしている。
(記事:小林 英介)