
斉藤 優汰(苫小牧中央)
北海道の高校野球を語る中で、よく言われているのが「札幌圏の高校」VS「それ以外の高校」という構図だ。夏の甲子園の地方大会だけは「北北海道」と「南北海道」に分かれて戦うが、それ以外だと全道大会は札幌市の札幌円山球場や札幌麻生球場などで行われることが多い。
そのため、「移動距離が短い札幌圏のチームが有利だ」といったことがよく言われるが、実際はどうだったのか。それを頭に入れつつ、今年の大会を春から順に振り返ってみよう。
第61回春季北海道高校野球大会では、札幌圏から札幌日大、北照、東海大札幌、北海、札幌第一、北星大附が、それ以外では旭川明成、白樺学園、稚内大谷、知内、駒大苫小牧、北見緑陵、釧路工、苫小牧中央、滝川西、クラーク記念国際が出場している。
札幌圏のうち初戦に勝ったのは札幌日大、北照、東海大札幌、札幌第一で、6校中4校と半数を超えている。試合が進み、準決勝の状況を見ても、ベスト4が北照、東海大札幌、苫小牧中央、札幌第一と4校中3校が札幌圏の高校だった。なお、この大会は札幌第一が北照を9対3で破って春季大会王者となっている。
第75回秋季北海道高校野球大会では、札幌圏から北海、札幌日大、札幌新川、札幌龍谷、北照、立命館慶祥、東海大札幌と7校が、それ以外では滝川、帯広農、函館大柏稜、函館大有斗、釧路工、旭川龍谷、北見柏陽、駒大苫小牧、クラーク記念国際、旭川明成、稚内大谷、北海道栄、白樺学園が出場した。
このうちベスト8に残ったのは北海、札幌日大、函館大柏稜、札幌龍谷、北照、クラーク記念国際、立命館慶祥、白樺学園で、札幌圏は札幌日大、札幌龍谷、北照、立命館慶祥の4校と半数に上った。この大会ではクラーク記念国際が北海に延長10回で3対1と勝利し、2連覇を達成している。
このように、札幌圏の高校が安定した成績を保っている中、札幌圏以外の高校からは広島からドラフト1位指名された苫小牧中央の斉藤 優汰投手のように、「個」の力が見えた選手がいたのも事実である。