
山田 陽翔(近江)
近年は、投手の球数制限が設けられるなどにより、先発完投型の本格派が減っていることから、継投で勝ち上がる高校が増えている。
以前なら、高校野球とはいえエース格の投手は、120球ほどで完投をしていたことが多かった。今回、先発完投型の投手を挙げるならば、近江(滋賀)のエースだった山田 陽翔投手(西武5位)ぐらいだろう。
その山田と夏の甲子園で投げ合った鳴門(徳島)の冨田 遼弥投手(3年)も、予選は1人で投げ抜いた(4試合28イニング)が、100前後でパフォーマンスが下がっており、夏甲子園の初戦、浮いた球の99球目を近江の横田 悟内野手(2年)に右中間を破られて逆転を許した。
さらに、市立船橋(千葉)の逆転劇で話題になった相手の興南(沖縄)の生盛 亜勇太投手(3年)はもちろんのこと、鹿児島実(鹿児島)の赤崎 智哉投手(3年)も100球前後で、落ち始めて最終的には試合終盤に逆転を許した。
このような展開の背景には、球数制限を意識した練習と実戦の取り組みがあると見ている。以前であれば、エース格の投手はある程度は負荷をかけながら、100球を超えても抑える場面が多々あった。しかし、この世代は新型コロナウイルスの影響で、練習と実戦不足と球数制限が重なってしまい、投げ込み不足などから投げる体力が例年よりも低い傾向の可能性が高い。そのため、先発をどこまで投げさせるべきかが、難しいとも言える。
現代的で理想的な投手運用はやはり大阪桐蔭(大阪)だ。春は2022年のセンバツ大会の投手起用はバランスが取れていた。夏の甲子園では2022年の仙台育英(宮城)、2021年の智辯和歌山(和歌山)の投手起用は無理なく投げられていた。