
藤岡 慎之祐(東福岡)、江口翔人(西日本短大附)
2023年の福岡は、例年になく「熱い」戦いとなりそうで、ワクワクしてくる。昨年秋の福岡大会を取材して4強に入ったチームには底力があり、個人的にもどこまで成長してくれるかが楽しみになる。
秋を制したのは西日本短大附だった。1年夏からレギュラーで甲子園も経験している江口 翔人内野手(2年)が主将となり、チームを引っ張る存在となった。昨年夏は自分のミスで敗れたことを反省。「夏休みは1日も休むことなく練習してきた。自信をもってやれました」と秋を制してその成長を示した。リードオフマンの役目を担ってきた170センチ、62キロの背番号6が、さらなる成長を狙う。投手陣の大黒柱はエースの中塚 康太朗投手(2年)。秋季県大会準決勝の福岡大大濠戦では160球近く投げて完投勝利を収めるなど、エースとしての成長も見せてきた。
準優勝したのは、甲子園経験のある東福岡。数々の名プレーヤーをプロ野球に輩出してきた名門が昨年秋の県大会で久しぶりに決勝の舞台に戻ってきた。元ロッテの投手として活躍した伊藤義弘監督が就任して3年目。「伊藤体制1期生」が今年3年生となる。全チームからレギュラーだった4人も残り、センバツ出場は厳しい状況だが、夏には結果を残したいところだろう。東福岡OBで元ソフトバンクの吉村裕基氏や元ロッテの野球評論家、里崎智也氏にも相談して打撃向上、捕手の指導に生かしてきた。その成果も結果につなげる。
福岡大大濠には注目捕手がいる。4番の藤田 悠太郎捕手(2年)は、糸島ボーイズで全国大会にも出場した経験を持つ。1年からスタメンを経験するなど、チームの大黒柱となっている。打撃はもちろん、捕手としてのキャッチング、スローイングには将来性を感じた。
21世紀枠の福岡推薦校に選ばれた近大福岡には、投打に楽しみな逸材がいる。5番・宮本 翔生外野手(2年)は、昨年秋の福岡大会準決勝で2打席連続本塁打を放つなど、パワーあふれる打撃を披露。マウンドに上ってもリリーフとして奮闘してみせた。打撃スタイルは大きなスイングでややアッパー気味に鋭く振り抜く。「球を地面に置いて、バットでゴルフスイングのようにして球を上げる練習をずっとしていました。上半身と下半身の連動がうまくいくようになりました」と自慢のスイングを解説する。もともとは投手だが、右手の骨折などもあり、投手と外野手を掛け持ちしている状態。「1年生の時は140キロを投げていました。春には140キロを投げるようになりたい」。投打ともに、宮本の春の姿を楽しみにしたい。
もちろん、上記4チームのほかにも実力校は多い。特に秋に8強に進んだ福岡をはじめとした公立校や、飯塚、折尾愛真、東海大福岡の私立勢も頂点を十分に狙える。秋は初戦敗退の悔しさを味わった大型スラッガー・佐倉 侠史朗内野手(2年)を擁する九州国際大付も黙ってはいないだろう。注目したいタレントも多く、23年夏までの福岡は「熱い」戦いとなりそうだ。
(記事:編集部)