今年の福岡の高校野球界を振り返って、3大ニュースにまとめてみた。

名将たちの退任



杉山 繁俊監督

 今年の夏を最後に、指揮官を退いた名将たちがいた。夏の福岡大会決勝戦、九州国際大付に挑んだ筑陽学園の江口 祐司監督にとっては、これがラスト采配となった。この夏限りで退任することを公表。甲子園に連れて行きたかったと号泣したナインをねぎらった姿は印象的だった。

 西日本短大附のコーチ時代、日本ハムの新庄 剛志監督を育て、筑陽学園では巨人・長野 久義外野手や、日本ハム・谷川 昌希投手らを輩出した。指揮官としても熊本の城北で2度、筑陽学園で3度の甲子園を経験。2019年夏には8強にも導いた。

 九産大九州の森崎 哲哉監督もこの夏限りで退任した。島原中央の監督から九産大九州に赴任後は春夏通算3度の甲子園を経験。阪神の岩田 将貴投手らの好投手を育てた。終盤のミラクル劇を起こすことも多く、粘り強いチーム作りには定評があった。「ピンチはチャンス、チャンスはピンチ」という言葉を胸に、選手のメンタル面での成長も後押しした。

 東海大相模(神奈川)時代に、巨人の原 辰徳監督と三遊間を組んだ杉山 繁俊監督が、東海大福岡の監督を退任したのは昨年の秋。2017年センバツで8強に進んだ名将だった。

 福岡の高校野球をリードした名将たちが新たな世代へとバトンタッチをした年でもあった。

九州国際大付の春夏連続甲子園



香西 一希(九州国際大付)

 今年の福岡の主役は九州国際大付だった。センバツに出場して8強に進む活躍を見せると、夏も福岡県を制して春夏連続での甲子園出場を果たした。香西 一希投手(3年)と野田 海人捕手(3年)のバッテリーを軸に、安定した守りと、時に破壊力を発揮した打撃を武器に、福岡県内では公式戦で負けずに終わった。昨年秋に新チームが発足して以来、秋季大会で優勝し、夏も無敗を誇って強さを見せたことになる。新チームとなった秋はまさかの初戦敗退となっただけに、来年は春からリベンジの戦いとなる。