春は沖縄水産が、夏は興南が、秋は沖縄尚学が優勝と、甲子園で結果を残してきた名門がそれぞれの大会を制覇した2022年。三國志の魏、呉、蜀よろしく2023年も群雄割拠の状態が続くかと思われたが、沖縄尚学が九州地区高校野球大会をも制覇。選抜高等学校野球大会出場をほぼ確定させ、明治神宮野球大会でも敗れはしたが、仙台育英(宮城)に8回を終えて4対0とリードする力をも見せたことで、秋の短期間で沖縄尚学が頭一つ抜け出た格好だ。
打線は九州随一。あとは二番手投手次第の沖縄尚学

東恩納 蒼
沖縄県高校野球秋季大会で優勝した沖縄尚学。そのチーム打率は圧巻の.432。5試合39イニングで48得点。9イニングに換算すると11.08という得点率になる。失点は僅かに7のみ。同じように9イニングで換算すると1.62。優勝しないわけがない数値が並んだ。打線を牽引するのは「知花が打って仲田が返すのが理想的」と、比嘉 公也監督も絶大な信頼を置く知花 慎之助外野手(2年)と仲田 侑仁内野手(2年)。
恐怖の1番打者として君臨してきた知花。沖縄県高校野球秋季大会の打率が.647。相手投手のレベルが格段に上がるはずの九州地区高校野球大会の打率は、それを上回る.714。鳥栖(佐賀)との試合で2打席連続ホームランをマークする派手なスタートを切ると、チャンスに回ってきたとき相手投手が知花との勝負を避け敬遠するという場面が多々見られた。バットコントロールに優れ且つ、捉えどころのミートポイントを知り尽くしているといった感じで、沖縄尚学の練習グラウンドである沖尚ボールパークでのフリーバッティングでも、左中間に聳える高いフェンスを軽々と超える打球を放っていた。
主に3番、4番を務めた仲田。沖縄県高校野球秋季大会の打率が.600。九州地区高校野球大会の打率は.438だった。恵まれた大きな身体から生まれるフルスイングは力強い。2大会の打率を見てもミート力は上位の方だが、仮に知花のそれを備えていたなら、大会でのホームランがあと3、4本あってもおかしくないだろう。
投手陣を引っ張るのはエース東恩納 蒼投手(2年)。沖縄県高校野球秋季大会での防御率は1.91。九州地区高校野球大会では2.43も、試合を壊さず作り続ける能力に長けており、それがチームの流れを生み、打線を活発にさせている。敗れはしたものの、明治神宮野球大会で仙台育英(宮城)を相手に8回までゼロに抑えていたのは、東恩納の真骨頂と言えるだろう。
エースに続くのは、照屋 希空投手(2年)と儀部 晧太朗投手(2年)の両右腕か。共に九州地区高校野球大会で東恩納をリリーフ。照屋は準決勝の海星(長崎)戦で、2イニング6打者無安打無四球ピッチング。儀部は決勝の長崎日大(長崎)との戦いで3番手として登板。2イニング7打者無安打2四球だった。共に課題は制球力。この冬で下半身をイジメ抜き、安定感を養えれば沖縄尚学にとって鬼に金棒となる。