目次

[1]沖縄尚学17季ぶり5度目の九州制覇!
[2]興南生盛亜勇太がU-18代表、そして活躍/沖縄県高等学校野球連盟史初の連合チームベスト8入り

 2022年も終わりを迎えようとしている。1、2年前に比べると、沖縄県のコロナ禍状況もだいぶ和らいできており、今年は各スタジアムに観客の姿が多く見られたと思う。沖縄尚学の九州地区高校野球大会優勝をはじめ、筆者が個人的に思った沖縄県の高校野球3大ニュースを取り上げてみよう。

沖縄尚学17季ぶり5度目の九州制覇!



秋季九州大会では沖縄尚学が優勝

 やはりなんと言っても今秋の沖縄尚学の快進撃だ。新チームに移行しての新人中央大会では準決勝でライバル興南と対戦し1点差の惜敗。そこから打倒興南を掲げた。秋季の県大会で共に勝ち進めば準決勝でぶつかる山。興南を倒せば自動的に九州地区高校野球大会への切符が手に入る。それまで10イニング連続無失点どころか、1本のヒットさえも許していない興南平山 航多投手(2年)の攻略なるかが焦点だったが、沖縄尚学打線はあっという間に平山を攻略。なんと8-1のコールドゲームにしてしまった。決勝戦も近年上位に食い込んでくる日本ウェルネス沖縄が相手だったが、前半で一気に逆転すると2ケタ得点を奪い完勝。見事1位校で通過した。

初戦で波に乗ると2試合連続サヨナラ勝ち

 九州地区高校野球大会では派手なスタートを切った沖縄尚学。初戦の鳥栖(佐賀)戦では、知花 慎之助外野手(2年)が挨拶代わりにと1回先頭打者本塁打をマーク。知花は第2打席でもアーチを描き沖縄尚学打線を鼓舞する。主砲・仲田 侑仁内野手(2年)にも一発が飛び出すなど、チーム全体で5本の長打。ランナーを三塁に置いて3本の犠牲フライと勝負強さも発揮し11安打8得点。投げてはエース東恩納 蒼投手(2年)が鳥栖打線から14奪三振をマークし2失点完投。これ以上ない幸先の良いスタートを切った。

 ここで敗れたらセンバツの切符がなくなる準々決勝。相手は1年前のセンバツで堂々の準優勝、今年の全国高校野球選手権大会でもベスト16入りの強豪・明豊(大分)とあって、県勢ファンは祈るような気持ちで試合を見つめた。

 2回、4回と東恩納の2打席連続適時打で2対0と理想的な展開で迎えた5回に、まさかの代打同点2ランを許す。6回、7回、8回とお互いゼロが続く緊張感にこちらは押し潰されそうな思いだ。9回表、相手の攻撃を三者凡退に斬った東恩納。その良い流れを持ったまま9回裏の先頭打者として打席に向かうと初球をたたき左前へ。これで俄然有利に立った沖縄尚学は犠打のあと、主将・佐野 春斗内野手(2年)が見事に左前へ弾き返す。二塁から東恩納が一気に生還し、劇的なサヨナラ勝ち。3年前の秋、3対3の同点から8回に3点をもぎ取り、勝利を確信するとともにセンバツ切符が近付くベスト4進出が見えたと思った9回に4点を奪い返され敗れた明豊戦の苦い思い出を拭い去ることができた。

 準決勝戦は海星(長崎)。3点を先制したが6回にひっくり返される。しかし7回1点差に迫ると9回裏、またしてもトップの知花が安打で出塁すると犠打と死球で一、二塁。4番・仲田が安打で繋ぐと5番に抜擢された東恩納が粘った9球目を右前へ運び2試合連続サヨナラ勝ち。スタンドに駆け付けた大勢の県民から割れんばかりの拍手が起こった。

 完全に波に乗った沖縄尚学は、決勝の長崎日大(長崎)戦でも7回に逆転するとそのまま逃げ切り。見事17季ぶり5度目の九州制覇を成し遂げたのだった。