
谷公希(三重)、伊藤基佑(愛工大名電)、松永陽登(日大三島)、山田渓太(大垣日大)
愛知県を中心として、全国的にもレベルは高いといわれている東海地区の高校野球である。しかし、結果としては甲子園ではなかなか上位に残り切れないというところもある。それでも、各校の質の高さは評価されていた。この夏は、愛工大名電がベスト8まで進出して、東海地区の健在ぶりも示した。
ただ、全体の印象としては、甲子園での実績という点では、やや低調だったという印象は否めない。というのも、春は日大三島(静岡)が初戦敗退。大垣日大(岐阜)も只見(福島)には勝利したものの2回戦では星稜(石川)に完敗。
そして、夏は愛工大名電こそ星稜、八戸学院光星(青森)、明豊(大分)といった相次ぐ難敵を振り切って41年ぶりにベスト8に進出したものの、春夏連続出場を果たした日大三島は國學院栃木(栃木)に、三重(三重)は強豪横浜(神奈川)に、そして県立岐阜商(岐阜)は大会中にコロナに見舞われたという不幸もあって社(兵庫)に、いずれも初戦敗退ということになってしまった。
つまり、春夏通して東海勢の甲子園成績は4勝6敗ということで負け越しとなってしまった。かつて、甲子園を席巻した時代もあった東海勢としてはいくらか残念な結果でもある。とはいうものの、各地区での戦いぶりを見ていると、それほど悲観するものでもない。
静岡県では日大三島、加藤学園、知徳など東部地区勢が台頭してきて、3地区の勢力が拮抗してきた。3地区のバランスが取れてきたことで、さらにそれぞれの地区同士の対抗意識も強くなり、切磋琢磨されていくのではないだろうか。
愛知県では、享栄の復活によって伝統の私学4強の勢力が増した上に、至学館や愛知産大工、愛知といった名古屋市内勢が健闘。さらには誉や愛知黎明の尾張地区勢、愛知産大三河に豊川、桜丘、豊橋中央といった三河地区の私学勢も結果を残している。加えて知多地区では大府、東浦、日本福祉大付、さらには西三河地区では刈谷、西尾、西尾東、安城、岡崎工科らの公立勢、東三河でも成章、豊橋西、時習館、渥美農などへの期待も高い。
岐阜県では県立岐阜商と大垣日大、中京に岐阜第一の4強に、市立岐阜商や大垣商、大垣西、岐阜などの各校が食い下がる。夏の選手権で準優勝を果たした帝京可児、ベスト8に残った美濃加茂、岐阜聖徳学園といったところも結果を残した。
三重県でも夏の優勝校の三重を筆頭に津田学園、海星の私学勢がリードしたが、津商、菰野、いなべ総合などの公立勢も健闘した。さらには、それらを追って、白山や宇治山田商、松阪商などが競い合っている。今年から、三重県の春秋の地区割が北地区、中地区、南地区の3地区ということになった。それぞれの地区大会からも目が離せない。
東海4県、いずれにしても来年へ向けて、大いに期待は膨らんでいく。
(記事:手束 仁)