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大阪桐蔭、近江が2022年を彩る!秋は報徳学園、龍谷大平安など伝統校が力みせた

2022.12.22

大阪桐蔭、近江が2022年を彩る!秋は報徳学園、龍谷大平安など伝統校が力みせた | 高校野球ドットコム
星子天真(大阪桐蔭)

 近年、高校野球の全国大会での活躍が目覚ましい近畿地区。今年も各大会で顕著な成績を収めた。今回は2022年の近畿地区の高校野球を総括していきたい。

センバツは大阪桐蔭が圧倒

 センバツでは大阪桐蔭(大阪)の強さが目立った。1回戦では鳴門(徳島)に3対1と苦戦するが、2回戦の広島商(広島)戦が不戦勝となった後、準々決勝以降の3試合で48得点と圧倒的な強さを発揮している。

 この大会で大阪桐蔭は通算11本塁打で大会記録を更新。準々決勝の市立和歌山(和歌山)戦では1試合大会タイの6本塁打を放っている。他にも4番の丸山 一喜内野手(3年)が大会タイの8打席連続安打を記録するなど、記録ずくめの圧勝劇だった。

 さらに新型コロナウイルスの集団感染により出場辞退した京都国際(京都)の代わりに出場した近江(滋賀)が準優勝と躍進。代替出場校の過去最高成績は1992年、育英(兵庫)などの8強だったが、それを上回り、滋賀県勢としても初めて決勝進出を果たした。

 また、金光大阪(大阪)と市立和歌山(和歌山)も8強入り。ベスト8のうち半数が近畿勢と改めてレベルの高さを証明する大会となった。

 明治神宮野球大会、センバツと大阪桐蔭が立て続けに優勝を飾ったことで、近畿地区だけにとどまらず、全国的にどこが大阪桐蔭を倒すのかということが焦点となった。

 春の近畿大会では準決勝で大阪桐蔭近江が対戦。センバツ決勝と同じ顔合わせとなった。センバツでは近江のエース・山田 陽翔投手(西武5位)が連投の疲労と準決勝で左足に死球を受けた影響で万全ではなかったが、この日は立ち上がりから快調だった。5回を終えて2対1と近江がリードしていたが、6回表に山田が足を攣って降板。終盤にリリーフ陣を打ち込んだ大阪桐蔭が11対2と大勝を収めた。

 勝ち続ける大阪桐蔭を止めたのが近畿大会決勝で対戦した智辯和歌山(和歌山)だった。1回表に3点を先制すると、4投手の継投で逃げ切り、3対2で勝利。大阪桐蔭に新チーム結成以来、初めて公式戦で土をつけた。

 夏は近江大阪桐蔭天理(奈良)が春夏連続で甲子園出場を達成。センバツは出場辞退となった京都国際に昨夏の甲子園優勝校である智辯和歌山も夏は公式戦に出場することができた。常連校が次々と甲子園行きを決める一方で、兵庫はが初出場。初出場ながら4強入りした2004年春以来の甲子園出場を果たした。

 春夏連覇を目指した大阪桐蔭だが、準々決勝で下関国際(山口)に逆転負け。夏連覇を狙った智辯和歌山も初戦で國學院栃木(栃木)に敗れた。

近江・山田が健闘、近畿勢の新チームも注目

大阪桐蔭、近江が2022年を彩る!秋は報徳学園、龍谷大平安など伝統校が力みせた | 高校野球ドットコム
山田陽翔(近江)

 その中で近畿勢最高成績を収めたのが近江。山田の投打にわたる活躍もあり、3季連続で4強入りを果たした。

 秋に行われた栃木国体には大阪桐蔭近江が出場。山田が登板しなかった近江は初戦で敗れたが、大阪桐蔭は準決勝で夏の甲子園優勝校の仙台育英(宮城)を下すなどして、4年ぶりの優勝を飾った。

 これで大阪桐蔭は全国大会三冠を達成。夏の甲子園以外の全国タイトルをつかんだことになった。

 新チームになっても大阪桐蔭の強さは健在。主将となったエースの前田 悠伍投手(2年)以外は主力が総入れ替えとなったが、明治神宮野球大会優勝を果たしている。来年も高校野球界の中心となりそうだ。

 秋の近畿大会は大阪桐蔭に加え、智辯和歌山報徳学園(兵庫)が春に続いて4強入り。4分の3が春と同じ顔ぶれとなった。

 唯一春から入れ替わったのが近江龍谷大平安(京都)。近江は滋賀県大会準々決勝で彦根東に敗れ、龍谷大平安は京都府大会3位から4強まで勝ち進み、4年ぶりのセンバツ出場をほぼ確実にした。

 上位校が固定されているイメージがある中で秋の近畿大会は彦根総合(滋賀)、箕面学園(大阪)、近大新宮(和歌山)と3校が初出場。彦根総合近大新宮との初出場対決を制して、来春の甲子園出場に大きく近づいた。

 21世紀枠は水口東(滋賀)、宮津天橋丹後緑風(京都)、大阪佐野(大阪)、兵庫小野(兵庫)、生駒(奈良)、和歌山熊野(和歌山)が各府県の推薦校に選ばれ、この中から兵庫小野が近畿地区の推薦校に選出された。1月27日の選考委員会で最終候補の9校からセンバツに出場できる3校が決まるが、出場権をつかむことができるだろうか。

 大阪桐蔭の日本一に始まり、大阪桐蔭の日本一に終わった2022年の高校野球。絶対王者を倒すために各校が努力を重ねることで、近畿地区はハイレベルを維持していると改めて実感する1年だった。

(記事:馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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