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2年連続沢村賞・MVPに輝いた現NPB最高投手・山本由伸を徹底分析!

2022.11.28

2年連続沢村賞・MVPに輝いた現NPB最高投手・山本由伸を徹底分析! | 高校野球ドットコム
オリックス・山本由伸投手(都城高出身)

2年連続沢村賞・MVPを獲得した実力はメジャークラスの山本由伸

 オリックスを2連覇に導いた山本 由伸投手(都城高出身)は昨シーズンと同様に、今シーズンも圧倒的なピッチングを見せて、2年連続で投手四冠に輝き、沢村賞とMVPを獲得した。

 ピッチングを見ると、今シーズンの7月9日のロッテ戦で更新された自己最高159キロの直球に、スプリットとスラッター、パワーカーブといった球種があるため、対戦する打者はお手上げ状態だったのは目に見えてわかった。さらに、細かい部分ではあるが、各球種の球速や変化量を上手くコントロールした。トータルで見ても、各球種をここまでコースに投げ分けられる精密さや、どのカウントでも立て直せる能力は、現在のNPBで一番と言ってもいい。まさに、機械のように洗練されたようなピッチングをしている。今の実力を見てもメジャーリーグでも、活躍が見込めるのに相応しい。今シーズンだけではなく、ここ2〜3年をトータルで見る限り、NPBからMLBに移籍する選手に見られる、日本球界で頭一つ二つ抜けている感じだ。日本シリーズは初戦で故障があったものの、クライマックスシリーズではシーズン終盤まで優勝争いをしたソフトバンク打線を、8回10奪三振の無失点に抑えた。ファーストステージを勝ち上がって勢いのあるソフトバンクを初戦でエースらしいピッチングで抑え込み、流れを一気に引き寄せた。

山本のように、万能型でトップクラスの投手は、勉強の成績で例えると、オール5の実力を持っていることとなる。そのため、相手から見ると、失投を打ち損じないことしかチャンスが生まれない。以前であれば、直球や変化球、コントロールなど何かに特化した投手が多かった中で、今メジャーで活躍をしているパドレス・ダルビッシュ有東北高出身)やオリックスでエースをしていた金子 千尋投手(長野商出身)、そしてこの山本といった総合力が高い投手が増えている。

今後は総合力でトップクラスにならないと、山本のように超一流にはなれない時代が来るかもしれない。

国際大会の強さと来年のWBCへの期待値は?

昨シーズンは、東京五輪にも出場しており、入りが難しいと言われる初戦のドミニカ共和国戦の先発を任された。立ち上がりから調子自体はあまり良くなかったものの、ランナーを出しながらではあるが、6回を0点に抑えて、勝利に結びつくピッチングをした。北京五輪では金メダルに輝いた韓国との準決勝で先発し、多彩な変化球をうまく使いながら要所を抑え、6回途中までゲームメークした。東京五輪では大会を通じて、勝ち星こそはなかったものの、11.1回を投げて防御率は1.59にまとめた。奪三振に関してはイニング数を大きく上回る18を記録。そのため、奪三振が欲しいピンチの場面では、しっかりと取れるところにもエースらしさが見られた。大会を通して、本調子からは程遠い内容だったものの、プレッシャーがかかる2試合で、抑えるあたりは超一流の領域にいるといっても過言ではない。

これまでの数年間は、チームとしても、日本代表としても、ここ一番の試合で登板して、抑えてきた。このような投手が、プレッシャーがかかる場面で、期待値通りに抑えることによって、流れが引き寄せられることがある。これは、投手としての風格や実力、実績があるからこそ成り立つ部分である。

来年はシーズン前の3月にWBCが開催される予定だ。メジャーで二刀流として世界最高峰のレベルに達し、サイ・ヤング賞4位だったエンゼルス・大谷 翔平投手(花巻東出身)や、今シーズン山本と同様に、セ・リーグで2年連続MVPに輝いた三冠王で、強化試合も格の違いを見せたヤクルト・村上 宗隆内野手(九州学院出身)といったあたりの選手も出場する予定だ。日本シリーズでのケガが心配ではあるが、山本が出場となれば、大谷、山本、ロッテ・佐々木 朗希投手(大船渡高出身)の、世界でも渡り合える先発陣を形成できる可能性は高い。山本の世界最高の舞台での活躍にも期待していきたい。

(記事=ゴジキ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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