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侍ジャパンの強化試合で結果を残した戸郷と宮城はWBC本代表にも選ばれるか?

2022.11.12

侍ジャパンの強化試合で結果を残した戸郷と宮城はWBC本代表にも選ばれるか? | 高校野球ドットコム
巨人・戸郷 翔征、オリックス・宮城 大弥

完璧なピッチングを見せた戸郷

 巨人・戸郷 翔征投手(聖心ウルスラ出身)は、2019年にリーグ優勝を決めた試合で、プロ初登板を果たして勝利に貢献した。そして2020年は直球の質のレベルアップはもちろんのこと、スラット・スプリットスタイルで、20歳という若さながら9勝を挙げた。

 高卒2年目ということもあり、開幕当初は大事に育成してほしいと考えていたが、その反面、投げている球自体は高卒2年目の域を超えて、ローテーションの軸になるべきレベルだった。フルシーズンを戦うのは初めてだったこともあり、2020年の夏場からシーズン終盤にかけて体力的に落ちたことは否めない。その課題をクリアして今年はシーズを投げ切る体力や、球審の不本意な判定に対するメンタル耐性を身につけたことによって、キャリアハイの成績を残した。今シーズンは最多奪三振を記録し日本代表に選出された。「スラット・スプリット型」の投球スタイルで今シーズンは自己最高の12勝、154奪三振を記録。タイトル争いを繰り広げた。同じ巨人の大先輩、菅野 智之投手(東海大相模出身)は、通算100勝を達成した試合のヒーローインタビューで、「戸郷にもそういうところを目指して頑張ってほしいという思いでいます」と名指しされた。

 来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた9日の強化試合では、オーストラリア戦で2番手として登板。4イニング7奪三振で、被安打は1とほぼ完璧なピッチングを見せた。多くのライバルがいる中で、第2先発という慣れない起用に適応した部分を見ても、非常にいいアピールになったに違いない。

 対外国人として、国際球に上手く順応しながらスプリットを生かすことができた点も大きい。オーストラリアの打者の反応を見ると、おそらく戸郷のフォームとスラッターとスプリットは、初見で打つのは困難ではないだろうか。

 日本代表の先発陣の枠は、おそらく3、4枠だが、ソフトバンク・千賀 滉大投手(蒲郡高出身)はMLB挑戦を控え、オリックス・山本 由伸投手(都城高出身)はケガの影響が心配される。パドレス・ダルビッシュ有投手(東北高出身)や、エンゼルス・大谷 翔平投手(花巻東出身)は、球団がWBC出場を許可するかどうかにかかっている。もし、これらの選手のほとんどが出られないとすれば、ロッテ佐々木 朗希投手(大船渡高出身)や、中日・髙橋 宏斗投手(中京大中京出身)と並んで、戸郷が来年のWBCの先発陣として投げる可能性も高い。そうなれば、若い先発陣を形成できることになる。今回の強化試合のようなパフォーマンスを残せれば、さらにワンランク上の投手として成長できるだろう。

第2先発としての対応力を見せた宮城大弥

 オリックス・宮城 大弥投手(興南出身)は、高卒3年目ながらも2年連続で2ケタ勝利を挙げて、日本代表に選出された。3年前のU-18代表に選出された経験もあることから、国際大会ならではの一発勝負の場で力を発揮できることにも期待される。

 所属するオリックスの投手陣と同様に、日本代表には先発陣では同い年の佐々木朗をはじめとした、チームメートである山本といったスピードがある投手が代表の先発陣の候補だ。ブルペン陣を見ても、巨人・大勢投手(西脇工出身)や、阪神・湯浅 京己投手(聖光学院出身)といったスピードがある投手を揃えていたことで、宮城のような投手が第2先発にいることで、かなり生きるのではないだろうか。

 今年の日本シリーズで、オリックスは山﨑 颯一郎投手(敦賀気比出身)や、宇田川 優希投手(八潮南出身)といったスピードがある投手を揃えていたことにより、先発を務めた宮城や山崎 福也投手(日大三出身)はもちろんのこと、比嘉 幹貴投手(コザ高出身)も生きた。その結果、オリックスはヤクルト打線を抑え込み日本一に輝いた。

 国際大会における日本代表選出には誰しもが認めるスター選手ばかりではなく、バリエーション豊かな選出をすることにより、相手国を抑えることができる。巨人との強化試合では第2先発として結果を残した宮城は、代表の中でその役割を求められる可能性が高い。激しい選手枠の争いになるが、自分の役割を理解したピッチングで高いパフォーマンスを残すことに期待していきたい。

(文=ゴジキ)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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