2年連続沢村賞相応しい山本由伸

 2年連続で沢村賞の獲得が射程内のオリックス・山本 由伸投手(都城高出身)は、今シーズンも圧倒的なピッチングを見せた。ピッチングスタイルを見ると、自己最高159キロの直球に、スプリットとパワーカーブといった球種があるため、打者はお手上げ状態だ。さらに、球速や変化量を上手くコントロールしながら、コースをここまで投げ分けられる精密さや、どのカウントでも投げられる制球力は、球界No.1に相応しい実力と見ている。まさに、機械のように洗練されたようなピッチングをしている。今のパフォーマンスを見ても、NPBからMLBに移籍する選手に見られる、日本球界で頭一つ二つ抜けている感じだ。クライマックスシリーズでも、シーズン終盤まで優勝争いをしたソフトバンク打線を、8回10奪三振の無失点で抑え込み、初戦の勝利で流れを一気に引き寄せた。

 昨年は、東京五輪にも出場しており、初戦を任された山本は、立ち上がりから調子自体は良くなかったものの、ランナーを出しながらではあるが、6回を0点に抑えるピッチングをした。さらに、韓国戦でも多様な変化球をうまく使いながら要所を抑え、5回途中までしっかりと試合を作った。結果だけを見れば、東京五輪の大会を通じて、11.1回を投げて防御率は1.59にまとめた。特に、奪三振は18を記録。三振が欲しい場面ではしっかりと取れるところも強みだろう。本調子からは程遠い内容だったものの、しっかりを抑えるあたりは超一流の領域にいるといっても過言ではない。

 昨年の日本シリーズでは、ヤクルトが徹底的に対策をしてきており、初戦は6回を112球、6戦目は9回を141球を投げた。今年も、山本をフル回転させないように、球数を投げさせてくる可能性は高い。しかし、ここまで圧倒的なピッチングを見せているため、山本もその対策を意識したピッチングをして、抑え込む可能性もあるだろう。

 昨年は、山本が投げた6戦目で勝ちきれないまま日本一になれなかったオリックスだが、今シーズンは強力なブルペン陣も控えている。そのため、球数が多くなった際に、点差次第では長いイニングを投げさせず、第5戦目に中4日で先発させることも考えられる。さらに、勝負どころでは、山本自身が中継ぎに回ることもあるだろう。キャリア序盤は中継ぎや抑えを任せられたこともあり、プレミア12でも中継ぎで世界一に貢献した。このあたりの適応能力の高さも、山本の強みである。

 山本のように、トータルの能力でトップクラスの投手は、勉強の成績で例えると、オール5のものを持っていることとなる。だからこそ、相手から見ると、失投を打ち損じないことしかチャンスが生まれない。以前であれば、特化型の投手が多かったが、ダルビッシュ 有(パドレス)や山本といった投手が増えている。

 ひと昔前では、何かに特化した投手が強みを磨いて、超一流のレベルに達したが、今後は総合力でトップクラスにならないと、山本のように超一流にはなれない時代が来るかもしれない。

 ここ一番の試合や短期決戦の試合において1人の投手が抑えることによって、流れが引き寄せられることがある。これは、勝ちパターンであれば誰でも良いわけではなく、投手としての風格や実力、実績があるからこそ成り立つ部分である。この山本がヤクルト打線に手も足も出ないようなピッチングをしたときに、その流れは来るのではないだろうか。対戦するヤクルト村上 宗隆内野手(九州学院出身)も、クライマックスシリーズでは気迫のヘッドスライディングを見せて、流れを引き寄せた。現在のプロ野球で投打の最高峰の対決となる山本 vs 村上との対戦にも注目していきたい。

(文=ゴジキ)