史上初の甲子園でプレーする大学準硬式の選手たちのホンネ

左から蛭田 魁人、保坂 将輝、藤中壮太、近藤みのり
大学準硬式の魅力でもある裏方も学生主体となって運営する形で、近藤さんたちを中心に11月の本番まで着々と準備が進んでいる。記者会見に登壇した藤中 壮太(法政大=2年)は鳴門高(徳島)時代、3年生の夏に県大会で優勝したが、コロナ禍で甲子園出場は幻に終わった。
だからこそ、「甲子園でプレーすることは今後の野球人生でないと思われた中で、東西対抗日本一決定戦が甲子園で開かれることは、素直にうれしく思った」と、喜びを改めてかみしめていた。
同じく聖隷クリストファー(静岡)で3年生の時に県大会を優勝しつつも、甲子園に出場できなかった保坂 将輝(亜細亜大=2年)は「普段は3部リーグにいるので、全国大会出場のチャンスがないので、甲子園で上のレベルの選手たちとできることは貴重な場所だと思います」と、力試しができることにも喜びを感じているようだった。
東日本選抜に選出された帝京大の最速144キロ右腕・山崎陽平投手も保坂同様に「大学卒業後も野球に携わりたいと考えているので、今後のアピールになればと思っています」と話し、甲子園をきっかけに自身の名を広げるチャンスにしようとしていた。
一方で東日本選抜の主将を任されることになった中島健輔(日本大=3年)は「周りが凄い選手なので、まとめるというよりは一緒に楽しみたい」と、初の甲子園の舞台に対する思いは様々だ。ただ全選手が口を揃えて話すのは、「大学準硬式に進んで、まさか甲子園でプレーするチャンスが来るなんて思っていなかった」という驚きと、夢舞台でプレーできる喜びだ。
また、試合のみならず、選手たちの就職のサポートとして、キャリアガイダンスを開くことも発表された。連盟が主体となって就職活動をサポートするのは、他の団体にはない動きだが、蛭田 魁人(東海大=2年)は「大学も任意で参加できるガイダンスは開いてくれていて、就職のために少しずつ動き出していますが、まだ本格的に動いているわけではないので、連盟で準備してくれるのはありがたいです」と甲子園で試合をするだけではない連盟の働きかけに感謝している様子だった。
試合だけではなく、選手たちの就職活動など、人財育成のプラットフォームとしてあらゆる面で学生たちへアプローチをする全日本大学準硬式連盟。史上初となる甲子園は、大学準硬式界にどんな意味をもたらすのか。その答えはまだ先となるが、まずは甲子園という夢舞台で、選手たちが躍動する姿を心待ちにしたい。
(記事=田中 裕毅)