目次

[1]来田が史上初男の面目躍如
[2]整然とした思考の中森

第94回選抜大会のトーナメント表
浦和学院、敦賀気比などが属するブロック
大阪桐蔭、花巻東などが属するブロック
ベスト8以上の組み合わせ

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来田が史上初男の面目躍如



来田 涼斗

 2021年7月13日、日本ハム対オリックス。オリックスでは、7番左翼で高卒ルーキーがスタメンに名を連ねた。3点を奪った初回、なおも2死一塁で1軍デビューの打席に立つと、日本ハムの先発・池田 隆英投手(創価出身)の初球を右翼席に。プロ野球の1軍公式戦で、高卒ルーキーが初打席の初球をホームランしたのは、史上初めてのことだった。

 そのルーキー、来田 涼斗外野手(明石商出身)である。高校時代から、「史上初」には縁があった。神戸市生まれ。小学生時代にオリックスジュニア入りし、強豪私学28校に誘われたなかから、兄も在籍した明石商(兵庫)に進学した。するとすぐさま、50メートル5秒9の俊足と打力で、1番・外野の定位置を獲得。夏の西兵庫大会でも、1番左翼として打率.350を記録し、チーム初出場だった夏の甲子園でも初戦敗退ながら4打数2安打だから、ただ者じゃない。

 近畿大会で準優勝した1年秋の新チームでも、智辯和歌山との近畿準決勝では、特大の3ラン含む3安打5打点など、打率は低くても勝負強いバットで2019年センバツに乗り込んだ。

 平成時代の最後を飾る、第91回選抜高校野球大会。第5日第1試合で国士舘(東京)と対戦した明石商は7対1と快勝し、来田は2回の先制2点タイムリーなど3打点を記録した。13対4で大勝した大分戦も5打数2安打2打点、準々決勝の相手は、近畿大会で破った智辯和歌山との再戦である。1点を先制された1回裏、先頭の来田は同点ソロ。3対3で迎えた9回にも、右越えにサヨナラ弾をぶち込んだ。つまり…。先頭打者&サヨナラ本塁打という、史上初の大仕事となったわけだ。

 並外れた身体能力、飛び抜けたスイングスピード。「食事と筋トレで、体重が7キロ増えました。体の安定感が増したことが、飛距離のアップにつながっていると思います」とは本人で、ときに小技も求められる1番打者だが、明石商・狭間 善徳監督は、「来田には、バントよりも打たせたほうが確率が高いんです」と真顔で話す。ちなみに、この時点での来田の公式戦本塁打は3本で、前年秋も含めすべてが智辯和歌山戦というキラーぶりだ。またこれもちなみに、明石商はこの年の夏も甲子園で準決勝まで進み、来田はその履正社(大阪)戦の1回裏にまたも先頭打者ホームラン。甲子園で2本の先頭打者弾も、史上唯一である。