目次

[1]ビッグ対決の裏で、2年生捕手が攻守で活躍
[2]直球がホップする2年生右腕が3試合連続完投

第94回選抜大会のトーナメント表
浦和学院、敦賀気比などが属するブロック
大阪桐蔭、花巻東などが属するブロック
ベスト8以上の組み合わせ

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 第94回選抜高校野球大会が3月18日に開幕する。多くの選手に注目が集まる中、この春から新たに2年生となる選手たちをクローズアップ。ここ10年のセンバツで印象的だった新2年生の活躍をプレイバックしてみる。

ビッグ対決の裏で、2年生捕手が攻守で活躍


 それにしても…。クジのいたずらというのはあるものだ。

 2012年の第84回選抜高校野球大会は初日、大谷 翔平投手(現エンゼルス)の放った1発で幕を開ける。マウンドには、藤浪 晋太郎投手(現阪神)。そう、この大会、第1日第3試合では、藤浪の大阪桐蔭(大阪)、大谷の花巻東(岩手)が激突したのだ。大会前から大注目だった2人の「ダルビッシュ2世」(最近とんと見かけなくなった表現。当時は、長身の速球派投手が現れると「○○のダルビッシュ」などと形容されたものだ)が、よりによって初日に対戦するのだ。大相撲なら、千秋楽結びの一番に見たい垂涎のカードである。

 2回裏、花巻東の先制点をたたき出したのが大谷のバットだった。藤浪の、内に落ちる変化球をライトスタンドへ。だが大阪桐蔭打線は、大谷の制球難につけこみ、7安打7四球で9対2と快勝する。この試合、大阪桐蔭の一番を打ち、3打数2安打とチャンスメイクしたのが、2年生捕手の森 友哉(現西武)だった。

 とはいえ、2年生とは思えない。前年秋の公式戦打率.571は出場32チーム中2位、3本塁打は5位タイ。なにしろ、打ち損じがほとんどないのだ。西谷 浩一監督によると、
「単なるミート力じゃなくて、球を確実にとらえる率が高い。OBと比べても遜色ない、というか森のほうが断然上です」
 それが、大谷からの2安打(ついでに、四死球も2)の裏づけだ。森は続く九州学院(熊本)との2回戦でも4打数1安打、中軸のケガで三番に座った浦和学院(埼玉)との準々決勝では4打数3安打とヒットを連ねている。この試合では、1対1と同点に追いついた直後、7回裏に無死満塁のピンチを迎えたが、ここは藤浪を強気にリードし、気迫の三者三振に導いた。捕手としての高い資質を見せたのは、準決勝の健大高崎(群馬)戦も同様。そこまでの3試合で計16盗塁している相手は、2回1死から二盗を仕掛けてきた。森はこれを持ち前の強肩で刺すと、さしもの「機動破壊」もその後、まるで動けなくなったのだ。

 この試合の森は同点に追いつかれたあとの8回、先頭打者として左中間に甲子園初ホームランを記録。これが決勝点になるのだが、
「出塁して、まず1点と思っていました。ホームランより、盗塁阻止のほうがうれしい。変化球のカウントで走ってくると分析し、練習してきましたので」

 詳しく聞くと、投手にワンバウンドの変化球を投げてもらい、それを二塁送球する練習を繰り返したのだとか。決勝の相手は、光星学院(現八戸学院光星=青森)。森はここでも「守りでチームを引っ張る」と決めていた。3回、一時同点に追いつかれるとマウンドの藤浪に駆け寄り、「変化球を投げるとき、ヒジが下がっています。低めを狙っていきましょう」とエースをもり立て、5回には好守で走者の本塁生還を阻止している。

 大阪桐蔭がセンバツ初優勝を決めたこの試合こそ無安打だったが、森は5試合18打数8安打、1本塁打。この後も3回甲子園に出場し、通算打率.473、5本塁打だから、「5打数4安打でも、よく打ったという感じにはならない。なんで1打席は打てんかったんや…ってなるんです」という西谷監督の話も、冗談には聞こえなかった。