2013年、4月3日。第85回記念選抜高校野球大会決勝のマウンドには、2人の2年生が立った。
 浦和学院(埼玉)の小島 和哉投手(現ロッテ)と、済美(愛媛)の安樂 智大投手(現楽天)。一方が2年生ならよくあるが、両チームともに2年生エースの決勝は、なかなか珍しいのではないか。

 小島は、準決勝までの4試合をほぼ1人で投げ抜いてきた。大差のついた3回戦(11対1山形中央戦)で1回、準々決勝(10対0北照=北海道)で2回マウンドを譲っただけで、ほかは2試合完投の33回。もっとすごいのが安楽で、広陵(広島)との延長13回完投から始まり、4試合すべて完投の40回だ。広陵戦では初回、いきなり150キロをマークすると、その試合では2年生として過去最速の152キロを計測した。ぐい〜んと体重を前に乗せるフォームからのストレートは垂れることがなく、広陵戦では13三振を奪取。高知との準決勝では、9回に151キロを投じる圧巻のスタミナも見せた。

 大会前から話題だった球速だけじゃない。タテに大きく割れるスライダーに、球速がさらに落ちるカーブと緩急も巧みで、それが40回で35の三振につながっている。そういうなかでも、「インコースを攻めていきたい」「腕をしっかり振っていきたい」と、自分の身上を繰り返してきた。

 一方の小島は、球速は130キロ中盤だが、球の見えにくいフォームで大胆に打者のフトコロをつくから体感速度は速く、さらにカーブ、スライダー、スクリューを巧みに投げ分ける。初戦、土佐(高知)を6安打で完封すると、準決勝では「迫力が違う。全国で上を狙える。こいつらで勝てなかったら、僕はいつ勝てんねん」と東 哲平監督が自信を持つ敦賀気比(福井)の強力打線を、5安打1失点の完投だ。4試合の防御率0.55は、安楽を大きくしのぐ。なにより、ピンチでも動じないのがいい。得点圏に走者を背負っても1球1球集中し、後続を退ける。

 小島に、出どころの見えにくいフォームについてたずねたときだ。
「僕、肩甲骨周りなどがけっこう柔らかいんですよ。小学生時代は並行して水泳もやっていました。野球のほうがおもしろくなって5年生でやめたんですが、中学では水泳部に頼まれて大会に出て、100メートルバタフライで関東大会まで進んだんです。そういう経験は、肩の可動域などに関係しているんじゃないですか」 野球に専念するまでは毎日10キロを泳いでいたというから、そりゃあ可動域も広くなる。決勝は、高校入学以来初めての連投となるが、
「水泳をやっていたのは、スタミナという面でも大きなプラスだと思いますよ」
 と、小島は自信をのぞかせていた。