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既にレジェンド級。高卒2年目までに異次元の成績を収めた4人の成人プレイヤー

2022.01.11

 1月10日は成人の日。今年の新成人は2001年4月2日〜2002年4月1日までに生まれた人が新成人となる。この世代では愛子さまをはじめ、芸能界でも期待の俳優、女優、アイドルたちがいて、華の世代とも呼ばれている。

 野球界では、華どころか「レジェンド世代」かもしれない。ロッテ・佐々木 朗希投手(大船渡出身)、ヤクルト・奥川 恭伸投手(星稜出身)、オリックス・宮城 大弥投手(興南出身)、同・紅林 弘太郎選手(駿河総合出身)の活躍は、すでにレジェンド級とも言える。

凄すぎる速球のスピードアップ

既にレジェンド級。高卒2年目までに異次元の成績を収めた4人の成人プレイヤー | 高校野球ドットコム
佐々木 朗希(大船渡)

 佐々木朗は大船渡1年から注目を浴びた投手で、なんといっても速球のスピードアップが規格外だった。

・1年夏 147キロ
・2年夏 157キロ
・3年春 163キロ
・3年夏 160キロ

 163キロは高校日本代表の研修合宿で、スカウト持参のスピードガンで計測したものだ。高校野球ドットコムのスピードガンでは、3年夏の一関工戦で最速154キロ、62球中19球が150キロ超えと、圧倒的な球速をたたき出し、平均球速147.33キロだった。その後、高校日本代表に選ばれ、4球団競合の末、ロッテに入団した。1年目は1、2軍ともに登板はなかったが、2年目にデビュー。3勝2敗、防御率2.27の結果を残した。

 クライマックスシリーズ(CS)でも「開幕戦」の楽天相手に先発して10奪三振を達成する好投を見せた。シーズン中の成績も高卒2年目としては高水準だが、パ・リーグ史上最年少でCS開幕投手になったこと自体が、すでに佐々木朗の凄さを実感させてもいた。現在、多くの投手の球速は上がり、比例するように打者レベルも上がる中、打者を圧倒できる佐々木朗の22年の投球が楽しみだ。

凄すぎる奥川の快投伝説

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奥川 恭伸(星稜)

 奥川は、中学時代から全国でも実績を残しており、16年の全国大会では優勝した。星稜高校2年のセンバツに甲子園初登場すると、そこから4季連続で甲子園に出場。高校時代の投球は「伝説級」でもある。

・2年秋 60.1回を投げてわずか5四死球 K/BB16.4
・3年センバツ 1回戦対履正社 17奪三振完封
・3年選手権 3回戦対智辯和歌山 14回23奪三振
・3年選手権 計41.1回 51奪三振 K/BB 7.28

 奥川投手の凄さを示すのが、K/BB(奪三振÷四球)。高校の場合で四死球数で換算したが、四球を出さず、三振が取れる。甲子園の快投を見ても、高校生投手が夢憧れるような快投をリアルに体現した投手だった。

 素質の高さはプロ入り2年目の昨シーズンに花開く。18試合で9勝4敗、投球回は105回で防御率3.26の好成績を残し、セ・リーグ新人特別賞を受賞した。中10日前後の先発ローテーションで投球回100イニング以上を達成しQS率は66.7%。故障防止でしっかりと準備させれば、最低6イニング以上を投げる若手投手がいる。首脳陣にとっても、ファンにとってもこれほどワクワクする要素はない。

 経験値を積ませられる上に、戦略も立てやすい。ヤクルトの後半戦の追い上げの要因にもなった。奥川の強みでもあるK/BBは9.10。105回を投げて、四球はわずか10個だった。CS初戦でも史上最年少完封勝利を挙げ、日本シリーズでも好投を見せた。

 投球内容は文句なしで、あとは中6日と間隔が縮まる中で、21年同様ハイクオリティーな投球を継続できれば、常に沢村賞を狙える投手になる予感がする。

[page_break:世代トップの成績を誇る新人王]

世代トップの成績を誇る新人王

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宮城 大弥(興南)

 宮城は宜野湾ポニー時代からU-15代表を経験。興南では1年夏からチームを甲子園に導いた。沖縄大会決勝戦で、13奪三振無四球での1失点完投勝利。対戦相手の美来工科は2季連続で九州大会出場し、打線も県内トップクラスの破壊力があった。その相手に圧倒した投球を見せた1年生左腕に一気に注目が集まった。

 2年夏も甲子園に出場し、3年春の九州大会では、26回を投げて41奪三振の快投を見せスカウトの評価を上げた。19年度の高校生No.1左腕と呼ばれ、オリックスへ入団。プロ入り後のパフォーマンスも傑出していた。

 高卒2年目の昨季は、沢村賞&MVPの山本 由伸投手(都城高出身)の18勝に次ぐ、リーグ2位の13勝、防御率2.51を記録した。日本シリーズ第2戦では、敗れはしたが先発して5回まで完全投球をみせた。奥川、佐々木朗両投手のスケールの大きさが注目されるなか、昨年の実績では宮城が一番。このまま好投を重ね、世代トップの数字を残すことが期待される。

成長度は異例中の異例

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紅林 弘太郎(駿河総合)

 紅林はプロ入り後の急成長もあるが、高校時代から非凡なパフォーマンスを示していた。高校日本代表研修合宿でのロングティーや、強肩が光る遊撃守備などから、NPBスカウトが好むような素材というのはひしひしと伝わってきた。

 高校通算40本塁打も放ち、オリックスから2位指名。将来のレギュラー候補として入団したが、高卒2年目となった昨シーズンのパフォーマンスは解説者、ファンの予想を大きく超えるものだった。開幕戦で遊撃スタメンを果たし、球団史上初となる10代2ケタ本塁打を達成。さらの巨人・坂本 勇人内野手(光星学院出身)以来の高卒2年目遊撃手の日本シリーズ全試合スタメンを果たした。

 紅林の21年シーズンは決して良いスタートではなかった。開幕3連戦ではミスを連発。打てない日々もあり、苦しい時期もあったが、中嶋監督の辛抱強い起用が大きく実る形となった。毎年大型遊撃手が現れるが、紅林の成長度は、異例中の異例。野手ではレジェンド級の野手になりそうな紅林をピックアップした。

 プロでは3年続けて一流選手と呼ばれる。4人とも今年こそが真価を問われる。高いハードルを乗り越えて、レジェンドと呼ばれる選手になることを期待したい。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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