9月に入り、秋季大会が本格化する。神奈川では今夏甲子園で1、2年生8名がベンチ入りした横浜に注目が集まる。普通に考えれば県大会の優勝候補。センバツを狙える位置にあるチームだ。

投打ともに戦力整える強さと気持ちの良い組織へ



緒方漣と杉山遥希

 新エースとして期待がかかる1年生左腕・杉山 遙希は、夏の神奈川大会で安定した投球を見せた。130キロ中盤の速球と、切れのある変化球を投げ分ける。完成度の高さは1年生離れしており、秋の段階でこの投手を打ち崩すのは相当難しい。その他、ゲームメイクができる右腕・田高 康成(2年)に加え、甲子園ではベンチを外れたがゲームメイク能力の高い左腕・佐竹 綱義(2年)の成長も気になるところだ。

 県大会ではどれだけ新戦力が出てくるのかカギになる。

 野手で一番の目玉は遊撃手の緒方 漣だろう。神奈川大会で打率5割をマークし、甲子園1回戦の広島新庄戦で、サヨナラ本塁打を放った。素早い動きで次々と打球を処理するなど、注目度が急上昇。緒方の一打と守備に注目が集まるだろう。セカンド・板倉 寛多(2年)は逆方向にしっかりと強い打球が打てる技術の高さが魅力。二塁守備も鍛えられている。

 打線ではスラッガーの玉城 陽希(2年)が、この秋も勝負強い打撃でチームを牽引してくれそうだ。1年生ながら代打で初本塁打を放って話題となった小野勝利は、甲子園では三振に終わったが、初球からフルスイングし、解説者から好評価されていた。スタメン出場も増える可能性もあり、自慢の長打力をどれだけ発揮できるか。

 バットコントロールが素晴らしい岸本 一心(2年)、193センチの大型打者・山﨑隆之介(1年)、中学時代にシニア日本代表を経験した右の外野手・八木田 翁雅(2年)も主軸として活躍が期待できそうだ。

 横浜は選手の能力の高さはもちろんだが、伝統のカバーリング、全力疾走を徹底し、組織的なチームに変わろうとしている。それと同時に見逃せないのは、試合中の立ち居振る舞い。試合後、校歌を歌い上げた後、相手チーム側に深々とお辞儀をして話題となった。これは、相手への敬意を忘れないチーム作りをしてきた村田監督の方針のもと、選手自ら行っているという。

 夏の甲子園に出場した横浜ナインは、フェアプレイ(公明正大)、ファイト(勇気)、フレンドシップ(友情)と高校野球の3大精神を非常に大事にしていて、とても気持ちが良いチームだった。

 この1年、優れた能力を持った1、2年生をもとに強いチームを作り上げていくなかでも、その精神は大事にして、見ていて気持ちのいいチームを貫いてほしい。

(記事:河嶋 宗一