2020年7月、とんでもない守備力を持った中学生がいると聞き、神奈川県厚木市で活動するオセアン横浜ヤングを訪れた。

 実際にプレーを見ると、軽い身のこなしに、握り替えの速さ、球際の強さと、明らかに守備力は中学生の域を越えていた
。 そしてその選手こそ、11日の広島新庄戦で1年生史上初のサヨナラ本塁打を放ち、一躍甲子園のスターへとのし上がった横浜緒方 漣選手だ。

 横浜は再三のチャンスをモノに出来ずに8回まで無得点が続き、9回表には広島新庄に決定的ともいえる2点が入り、これで試合は決まったかと思われた。だが9回裏、ランナーを二人置いた場面で、1ボールからの2球目の直球を叩いた打球は左翼席に一直線。
 自身公式戦初本塁打、そして1年生のサヨナラ弾は100年以上の甲子園の歴史で史上初の快挙となった。

 前述のように、緒方は中学時代から卓越した守備力を誇っており、また高校入学後には打撃力も向上して甲子園での本塁打に繋げた。
 だがその土台にあるのは、根っからの負けず嫌いな性格だ。


緒方漣(横浜)

 取材の中で、緒方が特に語気を強めて口にした言葉がある。
「甲子園に出て、背が小さくてもこれだけできるんだというところを多くの人に見せたいです」
 体格のハンデを、守備力へと昇華させたことを感じさせる一言だった。

 また、当時チームを指導していた元プロ野球選手の柳川洋平総監督(現オセアン滋賀ブラックス監督)も、緒方の負けず嫌いな性格を表わすエピソードを語ってくれた。

 昨春に高校野球ドットコムでは、「関東地区で注目のネクスト球児」と題して活躍が期待される中学球児を紹介する企画を行ったが、その際に緒方は自身の名前が無かったことに悔しさを露わにしたというのだ。

「普段は自分のことを表に出すような性格ではないのですが、『何で僕の名前が無いんですか』と言ってきたんです。こんなことを言うと思わなかったので、僕も正直驚きました」

 チームに入団当初から横浜に憧れ、前首脳陣の不祥事から体制が刷新された時も、その愛が揺らぐことはなかった。

「横浜のユニフォームを着て甲子園に」
 その目標は早くも達成したが、ここで満足するような選手ではない。甲子園優勝、世代ナンバーワン、プロ野球選手と、常に先の目標を目指して進み続けるはずだ。

取材=栗崎 祐太朗


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