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読者が選ぶ夏の地方大会ベストゲーム10選 1位は劇的な幕切れとなったあの一戦

2021.08.06

 6、7月にかけて行われた地方大会。3556試合を開催され、49代表校がすべて決まった。今回は読者が選ぶ地方大会ベストゲーム特集を実施したい。

 この企画をするにあたって、YouTubeのコミュニティ高校野球ドットコムのインスタグラムストーリーで募集を行い、約1000票近くの得票があった。編集部で集計を行い、ベスト10が決まった。

 今回、順位付けのルールとして、「1都道府県1カード」を入れた。多くの都道府県からの試合を選出したい考えで今回のランキングとなった。また、番外編として読者が選ぶ最も熱かった大会も紹介したい。このケースに該当した大会は編集部も取材しており、今年の地方大会を振り返る上で、外せないものだった。

読者が選ぶ夏の地方大会ベストゲームは?

読者が選ぶ夏の地方大会ベストゲーム10選 1位は劇的な幕切れとなったあの一戦 | 高校野球ドットコム
高知を5対3で破り2年ぶり21回目の夏の甲子園出場を果たした明徳義塾

10位 愛工大名電vs中京大中京

 今年は私学4強と呼ばれる中京大中京愛工大名電享栄東邦が例年以上の戦力が揃い、最激戦区と呼ばれていた。その中で、中京大中京vs愛工大名電の一戦は準決勝で実現。

 愛工大名電のエース・寺嶋大希投手、中京大中京のエース・畔柳亨丞の投げあいとなった。試合は終盤に愛工大名電が勝ち越しに成功。愛工大名電が決勝進出を決めた。

 また決勝の愛工大名電vs享栄の試合も多くの票を得ていた。

9位 乙訓vs龍谷大平安

 今年の京都大会では大会序盤から激戦が多かったのだが、最も注目されたのは昨秋優勝の龍谷大平安と昨秋準優勝の乙訓が初戦で対決したこと。この大会は有観客で、当初は太陽が丘野球場の予定だったが、多くの来場者が予定されることで、わかさスタジアムに変更になりました。多くの観衆が見つめる中で行われた一戦は息を呑む大激戦となった。

 試合は乙訓が4対2とリードした9回裏、龍谷大平安が追いつき、延長10回表、乙訓が5点を入れ、勝ち越しに成功した。この試合についてお互いの気迫あふれるプレーに感動したという声が寄せられており、ランクインとなった。

8位 仙台商vs仙台育英

 7月17日、仙台育英の敗退したニュースが話題となった。今年の戦力は全国でもトップクラス。全国制覇を狙えたであろう仙台育英を破った仙台商は過去に春、夏、二度の甲子園出場している強豪だ。試合は仙台商が先行し、追う仙台育英を振り切り、勝利を収めた。この試合について読者からは「仙台商の絶対に勝ってやるぞ!という執念に感動しました」というコメントが寄せられた。

6位 高知vs明徳義塾

 高知森木大智vs明徳義塾の対決で注目が集まった一戦。明徳義塾は1点を先制し、8回表にも1点を追加。8回裏に同点に追いつかれたものの、9回表に勝ち越しに成功。その試合運びが見事だった。

6位 県立岐阜商vs市立岐阜商

 岐阜大会決勝の県立岐阜商vs市立岐阜商の一戦がランクイン。この対決による決勝戦は36年ぶりとなり、岐阜県内では大きく話題となった。試合は4対3で県立岐阜商が競り勝ち、9年ぶり29回目の甲子園出場を決めた。決勝戦に相応しい熱戦を高く評価され、投票する方が多かった。

 なお、高知大会優勝の明徳義塾、岐阜大会優勝の県立岐阜商は初戦で激突する。

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1位は劇的な幕切れとなったあの一戦

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バットに祈りをささげる専大松戸・吉岡道泰

5位 山村学園vs花咲徳栄

 5位は山村学園vs花咲徳栄の一戦となった。山村学園が勝利し、ベスト8入りした熱戦。大会前から、今大会の山場で、花咲徳栄が最も苦しむ試合は5回戦ではないかといわれていた。試合は事前の予想通りに、山村学園が先行し、リードを広げる。9回表、花咲徳栄が反撃し、同点に追いつく。最後は山村学園がサヨナラ勝ちを収めたが、まさに激戦だった。山村学園は、ベスト8で敗れたが、1,2年生に選手が揃い、この秋の躍進も楽しみなチームだ。

4位 前橋育英vs健大高崎

 現在の群馬の黄金対決といえば、このカードではないだろうか。毎年、激闘を繰り広げる両校の直接対決は3年ぶりに決勝戦で開催された。1対1のまま延長戦へ。試合は12回表に前橋育英が3番岡田選手の2ランで勝ち越すと、この回に5点を入れ、試合を決めた。前橋育英は16年から続く5大会連続甲子園となった。

3位 鹿児島実業vs神村学園

 鹿児島を代表する名門校対決も激戦となった。神村学園の150キロ左腕・秦勝利と強打の鹿児島実打線の攻防は序盤からシーソーゲーム。神村学園が6回表に勝ち越しますが、鹿児島実業が猛烈な追い上げを見せ、9回裏に追いついて延長戦に。10回表、3点を勝ち越し、10回裏、鹿児島実が4点を入れ逆転サヨナラとなった。

 読者からは「逆転につぐ逆転、見ていてとても面白く、近年の鹿児島県の中でも試合でも確実に一番激アツな試合でした!!」とコメントが寄せられた。

2位 大阪桐蔭vs興国

 大阪大会決勝戦も熱い試合となった。序盤に3点を先制された大阪桐蔭は、6回にも1点を取られ、9回表、二死から同点に追いつかれ、苦しい試合展開。最後は池田陵真のサヨナラ安打で優勝を決めた。

1位 専大松戸vs木更津総合

 激戦となった千葉大会決勝戦が1位となった。延長13回まで及んだこの試合は、吉岡道泰選手のサヨナラ満塁本塁打で優勝を決めた。この試合は、唯一の100票以上の投票を得て、圧倒的1位となった。取材した編集部によると、吉岡は打席に入る前に祈りながら打席に入ったという。その願いが叶い、最高の幕切れで甲子園出場を決めた。

 そして番外編として、最も盛り上がった大会として、大阪大会準決勝、決勝を取り上げたい。


決勝戦 大阪桐蔭vs興国
準決勝 大阪桐蔭vs関大北陽
準決勝 興国vs履正社

 この3試合は凄い試合となった。まず大阪大会準決勝2試合とも延長14回に及ぶタイブレークとなった。まず興国vs履正社の試合は、7回表、二死満塁からのレフトの大飛球を興国のレフト・渡部颯がフェンス際まで走って捕球した大ファインプレーが大きかった。試合の流れとして履正社としてはひっくり返して、主導権を握りたかった展開。それを阻止した渡部のファインプレーは大きな力となった。

 大阪桐蔭vs関大北陽の一戦も勝田成山田悠平関大北陽の二遊間コンビは非常に能力が高く、楽しみなプレーヤーだった。この2人を中心に大阪桐蔭を追い詰めた。大阪桐蔭松浦慶斗は最速148キロをマークし、剛速球を披露。観衆を大きく沸かせた。

 そして決勝戦も9回表に追いついた時の興国側の応援団の盛り上がりが尋常ではなかった。最後は池田陵真のサヨナラ安打で締めくくるという劇的な展開に。

 この3試合の総得票数の合計は専大松戸vs木更津総合の試合を上回り、改めて濃密な試合展開が高校野球ファンの心を熱くさせたのが分かる。

 最後に、次のページにて得票があった試合を紹介したい。なんと250試合近くも取り上げられていた。名門校の試合だけではなく、多くの学校の試合が取り上げられていた。それだけ熱い試合が多かった証であり、改めての夏の地方大会が実現できてよかったといえる。そして8月9日から行われる甲子園ではどんな熱戦が繰り広げられるか注目だ。

[page_break:その他得票のあった試合一覧]

その他得票のあった試合一覧?

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(記事:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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