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栗林に続け!中京大中京や享栄などから愛知大学リーグに進んだ県内完結形の選手たち

2021.05.18

栗林に続け!中京大中京や享栄などから愛知大学リーグに進んだ県内完結形の選手たち | 高校野球ドットコム
栗林良史(愛知黎明-名城大-トヨタ自動車-広島)

 愛知県の高校生などの将来の進路については、元々より比較的県内完結型も言われている。それは、どういうことかと言うと、例えば県内の進学校と言われているところで、そこそこの成績であれば、よほどの成績優秀者ではない限り、敢えて東大や京大にチャレンジするよりも、「家からも通えるもんで、名大にしときゃあ」という考えの親も多いということだ。その後も、名古屋に拠点を置く大企業へ就職していくのが、無難な人生設計とも言われている。

 その傾向は、野球での進学先としても、同様のことがなきにしもあらずだという気もする。もちろん東京六大学や東都大学野球、あるいは首都大学野球連盟や関西の学校へ進学して野球を続けて活躍している選手も少なくはない。だけど、敢えて無理して首都圏の学校でやらなくても、「愛知大学リーグでちゃんとやっとったら、広島の栗林 良史(杜若→中京大→トヨタ自動車)や巨人の山本 一輝(東郷→中京大)みたいにプロにも行けるかもしれんがね」という思いもあるのも確かだ。

 愛知県完結型のプロ入りということで言えば、古くは、平野 謙(犬山→名商大→中日→西武)や岩瀬 仁紀(西尾東→愛知大→NTT東海→中日)、浅尾拓也(常滑北→日本福祉大→中日)などの例もある。現役でも祖父江 大輔(愛知→愛知大→トヨタ自動車→中日)、田島慎二(中部大一→東海学園大)などがいる。もちろん、昨年の高橋 宏斗(中京大中京)はじめ、石川 昂弥(東邦)や堂上 直倫(愛工大名電)のように、高い評価で高校から中日入りという例もある。

 それらは別格として、ここでは、愛知大学野球リーグで頑張る県内出身選手の状況を追ってみた。

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中京大・中嶌優君(中京大中京)

 甲子園出場選手で言えば、中京大には中京大中京から香村 篤史(4年)と伊藤 稜(4年)の両投手と1年下ながら中軸を打っていた澤井 廉(3年)、そして昨年公式戦を無敗で終えたチームからも杉浦 文哉中嶌 優らが入学してきている。そして、その1年上では関岡 隼也鶴田 健心、投手の麻續 竜生らが出場している。

 また、平成最後のセンバツを制した東邦からは杉浦 勇介(2年)も中京大で試合に出場している。また同じ東邦では坂上 大誠(2年)が愛知学院大でクリーンアップを打っている。内野手の村北 翔哉(2年)もベンチ入りしている。他にも東邦出身の愛知学院大としては4番の河村 真緒(4年)、遊撃手の鈴木 健太(4年)もいる。

 2018年に甲子園出場を果たしている愛工大名電からは後藤 晃成(3年)と投手の室田 祥吾(3年)が愛工大にいる。愛工大名電→愛工大としては、4年で鈴木 敦也、2年で尾藤 悠介野嵜 翔太、1年で小野 七斗らもいる。

 記念大会だった2018年の東愛知代表だった愛産大三河からは松原 弦介(3年)は中京大、捕手の深田 将大(3年)と2年の志村 克哉が東海学園大、そして1年生ながら控えの投手で甲子園のベンチ入りしていた蟹江 泰人(1年)は系列の愛知産業大に進学している。

 2017年のセンバツ代表となった至学館のエース川口 龍一(4年)と中軸の藤原 連太郎(4年)は名城大、二枚看板のもう一人の新美 涼介は星城大で一部昇格を目指している。

 さらに、令和最初の愛知代表となったでは、当時2年生だった手塚 陸斗三田 大雅も東海学園大に進んでいる。


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愛知学院大・三島有貴君(2年・享栄)

 他にも、甲子園出場は果たしていなくても愛知大学リーグ一部で活躍している愛知県出身の選手は多い。中でも、享栄豊川は各校に散らばっている。5月8日の「中部大・愛知学院大」の試合では、中部大の早矢仕 飛希と愛知学院大の佐藤 良明の両4年生投手の享栄対決もあった。試合は、中部大の早矢仕が5安打1失点で完投して3対1で中部大が勝利している。この試合では愛知学院大は捕手も享栄三島 有貴(2年)だった。

 また、中部大には大西一瑳(3年)、濱 英登(3年)、藤澤 朋輪(3年)と3人の豊川の選手が名を連ねていた。そして、4番では杉本修太郎(4年・東浦)が入っていた。

 豊川に並ぶ東三河の強豪桜丘出身では、中京大の捕手で小柳津 裕太(3年)、愛知学院大の中堅手として藤城 実成(2年)が出場している。

 他にも星城から入った1年生の宮川 怜は愛工大で3番を任されているなど、即戦力ぶりを示していた。その前を打つ福山 虎太郎(3年・愛知総合工科)も頑張っている。

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中京大・小柳津裕太君(3・桜丘)

 この春、リーグ優勝となった名城大では川口や藤原のほかにも大西 悠史(3年・大府)や第100回記念東愛知大会準優勝投手の磯村 翔吾(3年・西尾東)に注目の捕手で野口 泰司(3年・栄徳)らが健闘している。

 いずれにしても、愛知県内の高校野球でしのぎを削ってきた仲間たちが、そのまま県内の大学リーグへ進んでいくことで、地元では愛知大学野球の注目度が高くなっていくということはあろう。そして、それを励みにさらに、意識も技術も上がっていけば、愛知大学リーグからさらに上のステージで活躍する選手も多く表れていくのではないかという期待感も高まっていくというものだ。

 もちろん、そこへ岐阜、三重、静岡の東海三県はもちろん九州など他の地区出身校の選手たちも加わって刺激を与えていくのが大学野球。そのことで、愛知大学野球がより盛り上がっていってくれれば、愛知県出身者としても、なお嬉しい限りである。

参考【愛知大学野球連盟加盟校の私立校の系列高校】
<1部>
中京大→中京大中京
愛知工業大→愛工大名電
中部大→中部大春日丘中部大一
愛知学院大→愛知
名城大→名城大附
東海学園大→東海東海学園

<2部>
愛知東邦大→東邦
星城大→星城
至学館大→至学館
愛知大→なし
同朋大→同朋
名古屋産業大→菊華
日本福祉大→日本福祉大附
愛知産業大→愛産大三河、愛産大工
名古屋学院大→名古屋
名古屋商科大→名古屋国際
名古屋経済大→名経大市邨名経大高蔵

<3部>
愛知淑徳大→淑徳学園(女子校)
南山大→南山、南山女子
大同大→大同大大同
名古屋外国語大→なし

(記事:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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