森木大智だけじゃない!12人の四国の高校野球を盛り上げる好投手たち
森木 大智(高知2年)が151キロをマークする一方、代木 大和(明徳義塾2年)が好左腕ぶりを見せ付けた2020年秋の四国高校野球。ただ、四国で「好投手」の名を称されるのはこの両腕だけではない。
ここでは2021年の飛躍が大いに期待できる四国の好投手たちを紹介していきたい。
池田に潜む144キロ右腕に、英明で成長中の145キロ右腕
城東・髙木 太陽
徳島県の現役高校生最速は徳島池田の篠原 颯斗(2年・右投右打・美馬市立江原中出身)181センチ80キロの恵まれた体格から2,300回転を超える最速144キロのストレートと5種類の変化球を投げ分ける。「甲子園に出てどこまで勝てるか」を掲げる夏までにどこまで力を伸ばせるか楽しみだ。
徳島県では他にも髙木 太陽(徳島城東2年)、福永 怜央(徳島商2年)、日裏 幸輝(鳴門渦潮2年)など、春に140キロ以上を見据える右腕たちがそろっている。
香川県の現役高校生最速は秋の四国大会にも出場した英明・石河 大空(2年・176センチ81キロ・右投左打・高松市立古高松中出身)の145キロ。
高卒プロ入りを目指し歩き方から細部に至るまで向上心を欠かさない彼の成長と同時に、春に140キロ超えも見据える石川と同僚の1年生左腕・寒川 航希や、秋に140キロを叩き出している大手前高松・塩田 佳輝(2年)を筆頭とする他投手の奮起に期待したい。
聖カタリナ学園のクレバー右腕に、高知中央の二刀流・高知商の超大器
愛媛県では145キロを秋季四国大会準決勝で出した聖カタリナ学園・櫻井 頼之介(2年)が他を一歩リードしている。
単に球速だけでなくインコースに躊躇なく突っ込める勝負度胸や投球間隔の長短など相手のリズムを崩すクレバーさにも優れている。櫻井を追うのは秋季県大会で最速140キロを出した西条の187センチ右腕・真鍋 透徹(2年)などになりそうだ。
高知県で森木、代木の両輪に続くのは最速144キロ右腕の板谷 朋生(高知中央2年)。主たるポジションは遊撃手ながら、身体能力の高さは目を見張るものがある。また186センチ82キロの大型右腕・竹内 太一(高知商2年)は最速141キロを出した秋以降も成長中。冬のブルペンでも伸び・キレ共に申し分ないボールを連発している「超大器」だ。
さらに11月の「橋野純監督追悼試合」に登板した明徳義塾・矢野 勢也は180センチ72キロと1年生サイドハンド。最速136キロのストレートと130キロ前後のシンカーで次々と空振りを奪う姿は市川 悠太(現:東京ヤクルトスワローズ)を彷彿させる。
[page_break:3年ぶり「高卒ドラフト指名」への期待]聖カタリナ学園・櫻井 頼之介
松商の秋季四国大会出場校に大手前高松、尽誠学園らが追随。徳島県では夏・秋と激闘を繰り広げた鳴門と徳島商に鳴門渦潮が肩を並べ、徳島北、名西、池田、城東らが追う展開。愛媛県では甲子園初出場が濃厚となっている聖カタリナ学園に、その聖カタリナ学園と秋季四国大会準決勝で死闘を演じた小松の後に松山城南、丹原、新田、済美、松山商。そしてセンバツ21世紀枠四国候補校・川之石などが横一線。そして高知県は四国チャンピオン・明徳義塾を高知、高知中央、土佐塾、高知商などが追う。
2021年初頭の四国県別戦力分布を端的に記せばこんな感じだろう。ただ、読者の皆様も俯瞰して頂ければ解るように、例年以上に第1グループと第2グループとの差は少ない。明徳義塾ですら、高知との県大会決勝再試合が示すように圧倒的な力を有しているわけではない。1つ状況が変わればチャンスの種はどこに転がるか判らない「戦国時代到来」が2021年における四国高校野球の大きな幹となりそうだ。
もちろん、ここで校名が記されなかったチームの奮起にも大いに期待したいところ。よきライバル関係の中に生まれる「切磋琢磨」が四国高校野球全体のレベルを押し上げることになることを祈りたい。
なお、現状で春季四国大会は昨年中止になった香川県。秋季四国大会は愛媛県で開催予定である。
3年ぶり「高卒ドラフト指名」への期待
13名がプロ志望届を提出も四国地区からは「高卒ドラフト指名」の朗報は残念ながら届かなかった2020年。ただ、2021年はドラフト上位候補にあがる最速151キロ右腕・森木 大智(高知2年・投手)ばかりでなく、コントロール左腕・代木 大和(明徳義塾2年・投手)や50メートル5秒8の俊足中堅手・尾崎 颯太朗(西条2年)など、NPBスカウト陣がすでに試合に足を運んでいる選手が複数存在する。
まずはこの冬、どれだけ自らの実力を伸ばすことができるか。13名中9人が四国アイランドリーグplusに進むことになった2019年度四国地区高卒卒組の動向も含め、市川 悠太投手(明徳義塾)が東京ヤクルトスワローズ3巡目、土居 豪人投手(松山聖陵)が千葉ロッテマリーンズ8巡目指名を受けた2018年以来、3年ぶりのドラフト指名への期待が膨らむ。
(記事:寺下 友徳)
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