2021年は4校の躍進に期待!沖縄の高校野球を沸かせる注目校を紹介!
2020年、沖縄の秋は沖縄尚学、具志川商、興南、与勝がベスト4で幕を閉じた。その後に行われた一年生中央大会でも興南と沖縄尚学で決勝を戦うなど、長らく二強を形成してきた私学を筆頭に、具志川商と与勝の4校が中心となって2021年も動いていくのだろう。
ここでは敢えてこの上位4校以外から2021年に躍進するだろうと思われる注目校を挙げてみる。
沖縄尚学を苦しめた知念
知念・國吉 翔太
2020年秋季大会。優勝した沖縄尚学を一番苦しめたのが知念だ。一、二回戦とコールドで勝ち上がってきた沖縄尚学。三回戦で対戦した知念との戦いでは、一転して我慢比べの展開となった。
初回、下地 泰世と知念 大成の連続二塁打であっという間に1点を奪った沖縄尚学。これまで同様、ここも一気に打線が相手を飲み込むのかと思われたが、知念がそれを一蹴する。
1回裏、知念は1番・國吉 翔太が四球を選ぶと2番・仲里 洸哉がセンター前ヒット。その後二死となったが、5番・與那覇 慧伍のしぶとい当たりはセカンドの頭上を襲う。二者が生還し逆転した。ちなみに沖縄尚学が逆転されたのは、このシーンだけである(九州地区高校野球大会も含めると延岡学園も含む)。
知念の先発・伊佐 拓真は、2回から4回まで沖縄尚学打線をノーヒットに抑える好投。しかし5回、二死無走者から、もったいない死球を与えてしまう。盗塁と知念 大成のタイムリーで同点に追い付いた沖縄尚学。伊佐 拓真は6回にも下位打線に連打を浴び二・三塁とピンチを招くも、次打者を三振に斬り得点を許さない。
7回から二番手としてマウンドに上がった銘苅望空斗も3、4番を連続三振に斬るなど好ピッチング。延長10回、自ら出した四球の走者を犠打で進められ、味方のエラーで決勝点を奪われたが、二人であの強力な沖縄尚学打線を僅か7安打と封じたことは自信に繋がっただろう。
打線は9回裏、沖縄尚学エース後間 翔瑚からヒットと四球二つを選び二死満塁とサヨナラ寸前とする粘りを見せるなど、最後まで沖縄尚学を苦しめた。
伊佐 拓真、銘苅望空斗に加え、沖縄工戦で好投した與那覇 慧伍の投手陣を中心とした堅守と、ここぞというときの集中力はある。國吉 翔太と仲里 洸哉の後を任せられる中軸が冬トレでパワーをつけた姿を見せれば、沖縄尚学や興南と十分戦えるだろう。
[page_break:知念を苦しめた沖縄工/興南を苦しめた日本ウェルネス沖縄と豊見城]知念を苦しめた沖縄工
日本ウェルネス沖縄・東恩納音
沖縄尚学を苦しめたのが知念なら、その知念と打ち合いになり延長12回まで戦ったのが沖縄工だ。
初回、知念・國吉 翔太と仲里 洸哉の連続長打などで2点を奪った知念。その裏、沖縄工は、エラーの走者を犠打で進め3番・謝花 幸樹が期待に応えるタイムリー。謝花 幸樹は3回にもタイムリーを放つなど活躍。沖縄工はすぐさま同点に追い付いた。
5回、知念の國吉 翔太にランニングホームランを見舞われるなど3点を失った沖縄工だが、その裏大城 涼の三塁打から1番野原 一輝のタイムリーで1点を返すと、続く6回には新垣 元輝の2点タイムリー二塁打で同点に。7回裏にも4番・新垣康貴のタイムリーでみたび同点に追い付く粘りを見せた沖縄工。
マウンドの上原 直人は、疲れの出る終盤8回から10回まで、知念打線を1安打4奪三振に仕留める奮起を見せる。
延長12回、知念の5番・與那嶺 慧伍にタイムリーを許し敗北したが、簡単に屈しない見事な粘りを見せた秋であった。
興南を苦しめた日本ウェルネス沖縄と豊見城
三回戦で興南と対戦した豊見城。1回裏失点した豊見城は3回に二塁打を放っている2番・山城瑠唯が、5回に左中間を破る三塁打を放つと3番・小島 慎之介のタイムリーで同点。一年生中央大会で連覇を達成することとなる興南・生盛亜 勇太をノックアウト。
投げてはエース垣花 琉陽が、5回以外全てのイニングで走者を背負う苦しい展開ながら、要所を締めるピッチングで9回1失点。延長10回、二死一・三塁のピンチも右飛で切り抜けたが11回裏、連続長短打を浴びサヨナラ負け。打線も三番手で登板した興南・山城 京平の前に手も足も出なかったが、この対戦を糧にしないともったいない。
10対0で勝つチーム作りは難しいだろうが、1点差で相手が先に根を上げる粘りの野球なら十分可能。準優勝した2016年の春。豊見城の失点数は6試合中僅か8点だった。その先輩たちを越える思いで2021年を彩ってほしい。
その興南と準々決勝で対峙した沖縄日本ウェルネス沖縄。三度目の対決でリベンジに燃える興南・山城 京平の前に完封負けを喫したものの、二死無走者から連打と四球で満塁とした2回や、同じく二死から死球とヒットで一・三塁と、一気呵成に攻め立てる攻撃力は県内随一。
東恩納音、渡慶次 憲一郎の両エースも、興南打線に対し許したヒットは僅か5本。夏ベスト4の前チームからの経験値豊かな選手が揃う沖縄日本ウェルネス沖縄こそ、打倒沖縄尚学、興南の最右翼であることは疑いようがない。
平良 洸汰、川平 真也、平良 一葵、宮城 塁のウェルネス四天王に、185センチ85キロ(※注)のパワー溢れる体躯から長打を放つ宮城 沙己哉を4番に据える打線は、前泊 奏汰、コンズ 七斗らの前チームと比べても遜色はない。
※2019年時の宮城の身長と体重。現在はさらに大きくなっていると思われる。
(記事:當山 雅通)
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