目次

[1]コンセプトは遊びとして野球に親しむ
[2]「地域で愛される野球部、応援してもらえる野球部」への思いも込めて

 この秋の県大会ではベスト4まで進出した、県内でも有力野球部の一つともいえる静岡県立三島南高校。地域に密着した歴史のある公立校でもあるが、「地域野球体験会㏌三島南高校」という小学生や、もっと下の保育園生へ向けての野球普及活動の一環として、グラウンドを開放して、野球体験会を実施している。
 11月上旬に実施された体験会の様子を取材してきた。

コンセプトは遊びとして野球に親しむ



和やかな雰囲気で野球体験会は始まる

 体験会は、学校が終わった後の子どもたちが遊びとして野球に親しむということをコンセプトとしている。だから、放課後の時間ということで17時からの開催で、夕ご飯前までの18時半に終了という予定となっている。静岡県東部地区の三島南は、三島市大場(だいば)という市の南部にある。

 この活動を始めたのは、稲木恵介監督が富士宮東から異動して赴任した2013(平成25)年の翌年から、当初は保育園児を対象として開催していた。原則的には、三島市と隣りの函南町の子どもたちを対象として案内を配布したり告知していた。その取り組みが地元紙に紹介されるなどして、口コミなどでも広がっていった。そんなこともあって、小学生まで対象枠を広げ、現在では裾野市や沼津市、伊豆の国市、伊豆市の子どもたちまで参加するようになっている。

 この日も、当初の事前予約では64人だったが、ふたを開けてみたら友だちに誘われてきた子どもや、親たちの情報交換で参加した子などで80人と前回の62人をはるかに超える人数となっていた。

 「時期も時期ですから、人数制限しておこうとは思っていたんですが、来てくれた子たちには、検温、手指消毒なども実施し、保護者にはマスク着用を徹底してもらい、感染予防対策をしながら参加してもらった」

 と、嬉しい悲鳴でもある。



受付開始の様子

 準備ができて16時20分からの受付となっていたが、開始を待ちきれない子どもたちも多く、16時30分過ぎにはかなりの子どもたちが随時受け付けられていった。そして、早く到着した子は“的当てゲーム”や鬼ごっこのような“逃亡ハンターゲーム”をウォーミングアップ代わりに実施して、子どもたちは好きなところに随時参加していった。

 「基本は遊びの延長なんです。みんな、今の子どもたちは野球をきちんとやらされすぎていて、『野球=練習』というイメージなんですよね。ウチ(三島南)の子たちもそうです。だけど、子どもの頃には、“あそび講”としてボール投げや駆けっこなどをして、そんな中で自分たちでルールを決めてっていうところから始められればいいなということなんです。原点は遊びです」

 稲木監督は、この野球体験の主旨をそう語っている。保育園の時に初めて体験会に参加して、小学生になっても参加しているという子どもも少なくないという。

 小学生を含めた野球体験会は昨年から始めている。保育園児から規模を拡大しての体験会は、昨年は延べ286名の参加となった。コンセプトの中には、バットやボールを使う場所が限られている現代の中で、高校のグラウンドで野球を教材として遊ぶことが月に1度でもできるようにしていくことで、野球離れに歯止めをかけようという狙いもあって、昨年は夏休みに試験的に実施している。ただ、今年はコロナの影響で実施を見合わせていたが、感染防止対策を徹底していくことで何とかこの時期に実施することが出来たのだ。

PHOTO GALLERY フォトギャラリー

写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。