第152回 秋4強・三島南(静岡)が主催する「地域野球体験会」の中身とは2020年11月13日

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【目次】
[1]コンセプトは遊びとして野球に親しむ
[2]「地域で愛される野球部、応援してもらえる野球部」への思いも込めて

 この秋の県大会ではベスト4まで進出した、県内でも有力野球部の一つともいえる静岡県立三島南高校。地域に密着した歴史のある公立校でもあるが、「地域野球体験会㏌三島南高校」という小学生や、もっと下の保育園生へ向けての野球普及活動の一環として、グラウンドを開放して、野球体験会を実施している。
 11月上旬に実施された体験会の様子を取材してきた。

コンセプトは遊びとして野球に親しむ



和やかな雰囲気で野球体験会は始まる

 体験会は、学校が終わった後の子どもたちが遊びとして野球に親しむということをコンセプトとしている。だから、放課後の時間ということで17時からの開催で、夕ご飯前までの18時半に終了という予定となっている。静岡県東部地区の三島南は、三島市大場(だいば)という市の南部にある。

 この活動を始めたのは、稲木恵介監督が富士宮東から異動して赴任した2013(平成25)年の翌年から、当初は保育園児を対象として開催していた。原則的には、三島市と隣りの函南町の子どもたちを対象として案内を配布したり告知していた。その取り組みが地元紙に紹介されるなどして、口コミなどでも広がっていった。そんなこともあって、小学生まで対象枠を広げ、現在では裾野市や沼津市、伊豆の国市、伊豆市の子どもたちまで参加するようになっている。

 この日も、当初の事前予約では64人だったが、ふたを開けてみたら友だちに誘われてきた子どもや、親たちの情報交換で参加した子などで80人と前回の62人をはるかに超える人数となっていた。

 「時期も時期ですから、人数制限しておこうとは思っていたんですが、来てくれた子たちには、検温、手指消毒なども実施し、保護者にはマスク着用を徹底してもらい、感染予防対策をしながら参加してもらった」

 と、嬉しい悲鳴でもある。



受付開始の様子

 準備ができて16時20分からの受付となっていたが、開始を待ちきれない子どもたちも多く、16時30分過ぎにはかなりの子どもたちが随時受け付けられていった。そして、早く到着した子は“的当てゲーム”や鬼ごっこのような“逃亡ハンターゲーム”をウォーミングアップ代わりに実施して、子どもたちは好きなところに随時参加していった。

 「基本は遊びの延長なんです。みんな、今の子どもたちは野球をきちんとやらされすぎていて、『野球=練習』というイメージなんですよね。ウチ(三島南)の子たちもそうです。だけど、子どもの頃には、“あそび講”としてボール投げや駆けっこなどをして、そんな中で自分たちでルールを決めてっていうところから始められればいいなということなんです。原点は遊びです」

 稲木監督は、この野球体験の主旨をそう語っている。保育園の時に初めて体験会に参加して、小学生になっても参加しているという子どもも少なくないという。

 小学生を含めた野球体験会は昨年から始めている。保育園児から規模を拡大しての体験会は、昨年は延べ286名の参加となった。コンセプトの中には、バットやボールを使う場所が限られている現代の中で、高校のグラウンドで野球を教材として遊ぶことが月に1度でもできるようにしていくことで、野球離れに歯止めをかけようという狙いもあって、昨年は夏休みに試験的に実施している。ただ、今年はコロナの影響で実施を見合わせていたが、感染防止対策を徹底していくことで何とかこの時期に実施することが出来たのだ。

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プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
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