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福原、畔柳、藤森…2018年U-15代表のコーチが語る逸材たちの素顔【東日本編】

2020.09.20

 毎年、各世代で活躍する選手の経歴を見ると、中学時代に日本代表に選出された選手だったということはよくある。
 中でも、連盟の括りがない侍ジャパンU-15代表は、各連盟のトップ選手が集うため非常にレベルが高いことで有名だ。

 前回に引き続き、そんなU-15日本代表の中で、新チームを迎えた2年生の選手に着目していく。
 コーチとして指導した東練馬シニアの徳元敏監督(元オリックスなど)に当時の選手たちの印象やエピソードを伺い、現在地についても見ていきたい。今回は東日本編だ。

ずば抜けた野球センスを持っていた東海大菅生・福原聖矢

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東海大菅生・福原聖矢(安仁屋ヤングスピリッツ出身)

 東日本に目を移すと、関東地区での活躍が目立つ。
 特に、当時2年生ながら唯一代表に選ばれた福原聖矢(安仁屋ヤングスピリッツ出身)は、入学直後から攻守で東海大菅生を牽引。捕手と二塁を守るセンスに加え、4回戦の中大杉並戦ではサヨナラ安打を放つ勝負強さも発揮し、その名を東京中に知らしめた。

 飛び抜けた野球センスが際立つが、徳元監督もその才能に惚れ込んだ指導者の一人だ。

 「福原は、そりゃすぐ試合に出れますよ。もう猿ですよね。
 元々捕手ですが、『セカンドも守れるから守っていいですか』って言うから守らせると、本当にピカイチで。
 口数は少ないですけど賢いですよ。自分で考えて右方向に打ったり、野球をよく知っている」

 そして、その福原と昔から仲が良いという本田峻也(小松加賀リトルシニア出身)も、東海大菅生の投手陣の一角として、この夏は準決勝~東京決戦まで3試合連続で先発登板し、獅子奮迅の投球を見せた。独特のインステップを武器に活躍を見せる本田だが、徳元監督は印象深いエピソードがあると振り返る。

 「本田は本当におしゃべりな奴ですが、アメリカ戦で良い投球ができて少し浮かれていたんです。
 その後の試合はリリーフで待機させていましたが、ブルペンでは焦らず投げ過ぎるなよと言っていたのに、ずっと投げているんですよ。

 そしていざ登板する時には疲れたみたいで、四球出して打たれて。試合後に『俺あれだけ言ったよな』って言ったら、さすがのあいつもへこんでいました。今となっては良いエピソードです」

[page_break:これくらいはやってくれないと僕たちの目が疑われる]

これくらいはやってくれないと僕たちの目が疑われる

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横浜・金井慎之介(城南ボーイズ出身)

 その他、関東地区では、日大三齋藤広空(京葉ボーイズ出身)が1年秋からセカンドとして試合に出場し、桐蔭学園木本圭一(静岡裾野シニア出身)も中心打者としてチームを牽引。

 また、横浜の最速147キロ左腕・金井慎之介(城南ボーイズ出身)はここまで打者としてセンスを発揮しており、新チームからは本職である投手としても活躍が期待される。

 「木本も代表に欲しいなと思って、清水さんにお願いしたんですよ。性格も本当にいい子で、いつもニコニコしていますしね。
 齋藤も大したものですし、金井は代表戦でも野手として先発させていたくらいです」

 東海地区では、中京大中京畔柳亨丞(SASUKE名古屋ヤング)は前チームのエース・高橋宏斗よりもストレートの回転数は上と評判で、150キロを記録し、2021年度のドラフト候補に挙がる。

 また投手として代表に選出された東邦鈴木唯斗(SASUKE名古屋ヤング)、大垣日大清田蒼陽(新城ボーイズ)は野手として奮闘中で、東北地区では青森山田藤森粋七丞(青森山田シニア)が1年時から実績を積み重ねている。青森山田はプロ入りした堀田賢慎(巨人)、この夏ブレイクした小牟田龍宝と好投手が立て続けに出ており、藤森にも来年のドラフト候補として期待がかかる。

 「畔柳も頑張っているみたいですね。真面目でフォームのことを凄く聞いてきました。
 東邦の鈴木は野手になったみたいですが、身体能力の高い選手なので楽しみです」

 選手たちはこれから秋季大会を戦い、選抜甲子園、そして夏の甲子園大会を目指すことになるが、最後に徳元監督は選手たちに熱いエールを送った。

 「U-15日本代表選ばれているので、これくらいはやってくれないと。僕たちの目が疑われますからね。最終学年になるので、これからもっと頑張って欲しいですね」

 日本代表での恩師のエールを力に、選手たちがこれからどんな活躍を見せるのか注目だ。

(取材=栗崎祐太朗

代表選手一覧
【投手】
11 樋上 颯太 右投右打 湖南ボーイズ –大阪桐蔭
14 金井 慎之介 左投左打 東京城南ボーイズ-横浜
15 古川 秀弥 右投右打 ヤング西福岡メッツ –福岡大大濠
16 本田 峻也 左投左打 小松加賀リトルシニア -東海大菅生
17 鈴木 唯斗 左投左打 SASUKE名古屋ヤング -東邦
18 畔柳 亨丞 右投右打 SASUKE名古屋ヤング -中京大中京
19 藤森 粋七丞 右投右打 青森山田リトルシニア –青森山田
21 秋山 恭平 左投左打 筑後サザンホークス –広島新庄
22 清田 蒼陽 右投右打 新城ボーイズ –大垣日大

【捕手】
5 池田 陵真 右投右打 忠岡ボーイズ –大阪桐蔭
10 坂 玲哉 右投右打 湖南ボーイズ –大阪桐蔭
12 福原 聖矢 右投右打 安仁屋ヤングスピリッツ –東海大菅生
13 城下 拡 右投左打 串木野ドリームズ -鹿児島実

【内野手】
2 木本 圭一 右投右打 静岡裾野リトルシニア –桐蔭学園
3 竹中 勇登 右投右打 倉敷ビガーズヤング -大阪桐蔭
4 杉下 海生 右投左打 泉佐野リトルシニア –天理
6 齋藤 広空 右投右打 京葉ボーイズ -日大三
8 内山 陽斗 右投左打 羽曳野ボーイズ –天理

【外野手】
7 花田 旭  右投右打 西淀ボーイズ –大阪桐蔭
9 小畠 一心 右投右打 オール住之江ヤング –智辯学園

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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