試合が終わり、夕暮れの甲子園に掲げられていた国旗が降納されていくのを特別な思いで見守った選手がいる。甲子園交流試合の最終戦で白樺学園に8対3で勝利した山梨学院。そこで4番・捕手で攻守の要を担ったのが栗田 勇雅だった。


エースの想いを背負って戦った最後の甲子園

 入学直後からベンチ入りを果たし、2018年の夏の甲子園では1年生であるにもかかわらず、3番・捕手でスタメン出場。ヒットこそ打つことが出来なかったが、甲子園デビューを早くから成し遂げた。

 翌春の選抜、そして夏の甲子園でもスタメンに名を連ねており、今回の交流試合は4季連続の甲子園。同世代の中でも数少ない選手である。そんな最後の甲子園は、白樺学園との一戦で7回のタイムリーを含む、3打数2安打1打点だった。

 山梨の独自大会ではライバル・東海大甲府に敗れたが、公式戦最後の試合で結果を残して高校野球を終えた。しかしこの一戦には強い想いがあった。

「甲子園に立てたのは、関東大会で決勝戦まで投げてくれた吉川大が投げてくれたからです。その吉川が怪我をしてしまいましたので、1年生もしっかり引っ張って勝ちたいと思っていました」

 昨秋、山梨学院を支えたエース・吉川が山梨での独自大会で打球が顔面付近に当たってしまったことで、ベンチから外れることとなった。

 その代わりに大抜擢されたのが1年生左腕・古川秀将。その古川をキャッチャーとして引っ張ろうと栗田は今までの経験をフルに生かしてリードした。

 またエース・吉川からの激励も大きかった。

「宿舎で全員で夜ご飯を食べていた時に、吉川から連絡が来たんです。簡単なメッセージでしたが、LINEで選手1人1人に連絡を送ってくれたんです」

 エースの激励を受けた栗田はバッテリーとしてともに戦った吉川の分まで甲子園で戦い、白星を掴んだ。これで高校野球に一区切りがついた。山梨学院での3年間を振り返ってもらうと、「1年生から試合に出させてもらえて、この3年間は本当に良かったです」と満足した晴れやかな表情で語った。

 次の世界へ、山梨学院で早くから公式戦で経験してきたことを活かして、さらなる成長した姿を見られることを楽しみにしたい。

(取材=田中 裕毅)

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