智辯和歌山といえば、強力打線で打ち勝つ野球を想像されるのではないだろうか。今年は旧チームから経験する細川 凌平主将、綾原 創太。そして2年生4番・徳丸 天晴といったスラッガーを揃えて、昨秋はチーム打率.366を記録した。

 しかし、尽誠学園との交流試合はヒット9本放つものの、残塁10で得点は1点のみ。自慢の打線が機能しなかった。

 尽誠学園の先発左腕・村上 侑希斗のトルネードのようなフォームから繰り出す最速140キロを計測するストレート。さらに緩急を利かせた変化球を織り交ぜられる投球を披露した。

 強力・智辯和歌山打線を前に「相手がフライを上げてくれていましたので、低めに投げられれば大丈夫だと思って投げていました」と村上は振り返るように13個のフライアウトを重ねた智辯和歌山

 また2回だけで被安打5と集中打を浴びるなど序盤だけで6点を失ったことも、苦戦を強いられた智辯和歌山にとって大きかった。では智辯和歌山バッテリーは尽誠学園打線をどう感じていたのだろうか。

 智辯和歌山投手陣を支える3番手・矢田 真那斗尽誠学園打線の印象をこのように語る。
「試合前にビデオでチェックをしていましたが、実際に対戦をするとよくバットが振れていて、自分たちの予想を上回る打線でした」

 香川の独自大会を「ぶっちぎりで優勝」することを目標に、準備してきた尽誠学園の調子の良さを痛感した矢田。それはベンチスタートだったキャッチャー・宇井 治都も感じ取っていた。

「全員が強くバットを振れていて、バットに上がればきっちり外野まで飛ばす打線でした。ですので、慎重に攻めていこうと考えていましたが、3回までは慎重に攻め過ぎてしまってカウントを悪くしてしまいました。そこでストライクを取りに行って打たれているように見えました」

 対戦する前の段階では「小技が多いので、そういった攻撃で来るかと思いましたが、想像以上に触れていて、活発な打線だった」と宇井も尽誠学園の打線の勢いに驚きを受けていた。それでも4回からマスクをかぶると、「うちの投手陣のボールは良いので、ゾーンで勝負するようにしました」と堂々と攻めるようにした。

 4回に失点はしたものの、5回以降は無失点のリード。守備でリズムを作るも、序盤の失点から追いつくことが出来なかった。

 その一方で、序盤から打線で試合のペースを握った尽誠学園が上手く試合を運んだといえる。「ぶっちぎりで優勝」を掲げて独自大会を戦い、その勢いで智辯和歌山を破ったのだ。

 いつもであれば、打線でプレッシャーをかける智辯和歌山らしさを、尽誠学園が発揮した。そんな一戦だったのではないだろうか。

(取材=田中 裕毅)

関連記事
「今だからこそ両親に感謝しなさい」 帝京の前田三夫監督が3年生たちへメッセージ
9年ぶりの甲子園を狙う帝京。復活の予兆を見せた裏側に迫る
3年生に託した9回の攻防 臼井の執念のサヨナラ打で東海大菅生 東京の頂点に立つ!