執念、チーム力、甘さ。東海大相模が大阪桐蔭との一戦で学んだこと
神奈川の独自大会制覇に向けて勢いを止めない東海大相模。今年も強力打線を武器に神奈川の頂点を目指す中、17日の甲子園交流試合でライバル・大阪桐蔭との一戦交えた。対戦カードが決まった段階から注目が集まった一戦は、終盤までもつれる大接戦の末に大阪桐蔭が4対2で勝利を掴んだ。
一時はリードしていた東海大相模にとっては惜しい敗戦となった。それと同時にチームがさらなる高みへのし上がるきっかけとなる一戦となった。
ライバル大阪桐蔭から学んだチームとして、そして自分たちがすべきこと
山村崇嘉と西川僚祐
「自分にとっては横浜と大阪桐蔭は一番意識をしているチームで、本当にライバルだと思っています」
大阪桐蔭戦で2番・ショートとしてスタメン出場した山村崇嘉主将が、大阪桐蔭の印象について語った一言だ。毎年神奈川でしのぎを削り合っている横浜と同じく強く意識をもって大阪桐蔭との一戦に挑んでいた。
そして、チームの主砲にして今秋のドラフト戦線で注目が集まる西川僚祐は大阪桐蔭について、「打線のつながり、そしてランナーが溜まった状態であれば必ず点数を獲ってくる」と同じく打線に自信を持っている東海大相模の主砲を担う西川でも、大阪桐蔭の打線を警戒していた。
試合は7回の6番・神里陸の一打で一時リードをしていたが、8回に大阪桐蔭の薮井駿之裕主将の一打で勝ち越しを許して敗れた。山村、西川ともにこの敗戦に悔しさを滲ませるが、山村は薮井主将の打撃から学べることがあった。
「1球に対する執念に大阪桐蔭の強さを感じました。何としても出したかった場面で出た決勝打だったので、『凄いな』と感じました」
大阪桐蔭のボールに対する気持ち、想いの強さに山村は大阪桐蔭の強さを感じ取った。それを踏まえたうえで大阪桐蔭との戦いの中で見つかったのは甘さだった。
「初球から振っていく自分たちの野球が通じませんでしたし、甘さが出ました。技術も精神も大阪桐蔭のほうが上だったと思います」
個人のバッティングとしても「甘いボールを捉えきれなかった自分の技術が足りていませんでした」と振り返っている。
一方の西川は大阪桐蔭のチーム層の厚さを感じ取っていた。
「初回に1番バッターにフェンス直撃の二塁打を打たれましたけど、ベンチから途中出場する選手たちもどんどんバットを振ってくるのは、実際に試合をして感じました」
大阪桐蔭では11月から12月のシーズン終盤に育成試合という形で、秋の大会でベンチ外またベンチ入りをしても出場機会が少なかった選手を中心に起用。多くの選手に出場機会を与えていることでで実戦経験を積んでいるからこそ、西川が感じたように控えスタートでもきっちり試合で活躍が出来るのだ。
また今回、藤江星河と対戦を通じて対応力の向上を課題に掲げた。
「真っすぐを狙いながらも変化球を投げられたときの対応力といいますか、その辺りの技術を磨いていかないと上の世界では通じないと感じました」
19日には準々決勝で平塚学園と対戦する東海大相模。「勝てなかったのは悔しかったですが、これを糧に頑張りたいです」と山村は語ったが、公式戦はまだ残っている。数少ない残された試合で山村、西川、そして東海大相模というチームがライバルから学んだことをどうプレーで表現するのか。最後まで活躍を追い続けていきたい。
(取材=田中 裕毅)
関連記事
◆「今だからこそ両親に感謝しなさい」 帝京の前田三夫監督が3年生たちへメッセージ
◆9年ぶりの甲子園を狙う帝京。復活の予兆を見せた裏側に迫る
◆3年生に託した9回の攻防 臼井の執念のサヨナラ打で東海大菅生 東京の頂点に立つ!