現代の野球は高速変化球がトレンドだ。

 プロ野球ではストレートとほぼ変わらない140キロを超える変化球を超える投手がいる。高校生でも高速変化球を投げる投手は増えてきており、県立岐阜商の144キロ右腕・森 大河はそのトレンドを踏襲する投手だった。

 セットポジションから左腕を使って開きを抑え、着地と同時に下ろしていた右腕を一気に振り抜く。すこし独特ともいえる投球フォームな森 大河。明豊戦は6回からマウンドに上がると、打者16人に対して被安打3、与四死球1、奪三振3、失点1という結果を残した。

 まず森の球種、球速を1つずつ振り返っていこう。ストレートは常時130キロ後半で最速144キロ。高校3年夏になれば、140キロ超えの投手は多いが、他の投手にない武器が高速変化球だ。森が操るのは、縦のスライダーが110キロ中盤、スプリットが125キロ前後。そして小さく沈むカットボールが135キロ以上と、特にカットボールはストレートとほぼ変わらない。

 県立岐阜商の3年間、森は高速変化球を常に追求をしてきた。

「球速が速くて動く変化球はやっぱり打ち取れると思うんです。メジャーだって少し動く変化球を投げているので、その辺りも意識したうえで練習してきました」

 森は入学時から「球速が速くて落ちる変化球が有効だ」というアドバイスをもらってから、森の中では2つの目標をもって練習をすることとなった。1つはストレートを140、もしくは150キロまで投げられるようにする。そして三振を取れるような球種を手にすること。

 この2つを目標に掲げて練習に取り組んできた。その中で森の中で武器になったのがカットボールだった。

「1年生の秋から少しずつコツをつかみ始めて、春の時にモノにしました。今では三振を取るだけではなく、打ち取るのにも有効な球種になりました」

 鍛冶舎巧監督の指導の特徴は具体的な数字目標を立てて、成功体験を積み重ねるところにある。そうすることで自分の努力の成果が明確な結果に残るためだ、森もその一言を胸に練習に取り組んできたのだ。その重要性についてこのように語っている。

「自粛期間を通じて、見えない目標に向かってやるのではなく、具体的な数字目標を掲げるなど監督の言ってきた目標を持つ大切さを知りました。目標を持てばモチベーションにもつながりますので、これからも活かしていきたいです」

 鍛治舎監督の3年間の教えの成果が発揮されたマウンドだったが、それだけではなく仲間の存在も大きかった。

「同級生の西内 勇人が140キロを超えれば負けていられなかったですし、知識も豊富でしたので話を聞いたりして互いに高め合える良い手本でした」

 明豊との試合を区切りに高校野球が終わったが、森の野球人生はまだこれから。これから森がどのような投手に成長していくのか。今後が楽しみである。

(記事=田中 裕毅)

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